White Light – White Light (1970)
謎多きアメリカのバンドWhite Lightは、ギター・ボーカルのGary "Mississippi" Abramsと、Joel PerronとKurt Perronという器用なマルチ奏者のコンビからなる。Lou Reedが書いた曲の名を引用していることからも、彼らがダークでもうろうとした雰囲気のサイケデリック・サウンドを聴かせているのは驚くに値しないが、ハードなブルースからの影響を強くうかがわせているのは興味深い。なぜならVelvetsはJimmy Reedの「Baby, What You Want Me To Do」を歌ったりはしなかったからだ。
かつてBobby WomackがJames Brown風に歌った「What Is This」は60年代ファンクのビートはそのままに、サウンドはグッとアシッド・ロックに近づけている。Barbara Lynnの「You'll Lose A Good Thing」のような懐かしのソウルや、コーラス・グループをパロディしたような「Always Always」というオリジナル曲からも、彼らの音楽的土壌がブラック・ミュージックにあることは間違いない。
一方でとげとげしいギターが耳を刺す「Heartbreak Hotel」のカバーはローファイな録音を除いてロックンロールの基本に忠実だ。さらにはFugsのファーストに収録されていた「I Couldn't Get High」という意外な選曲もある。
後にAbramsは自主レーベルからこれまたVelvets風のタイトルのアルバムを発表している。こちらはエレクトリック・ファンクへの傾倒を見せており、本作と並行して語られることも多い。