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Scientist – Scientist Meets The Space Invaders (1981)

 王者King Tubyの下で才能を開花させ、ダブの技術を大きく革新させたエンジニアScientistは、もともとスタジオ〈タビーズ〉の近所に住む電気工の息子であったそうだ。もともとTubyのレコードを機材を扱う仕事用に「愛用」していたScientistが、彼のスタジオでBarrington Levyの7インチを初めてミックスした時、鬼才のキャリアは始まった。
 アルバムの音源はチャンネル・ワンにおいてLinval ThompsonとMickie "Roots" Scottの手により録音されたものだ(後年Linvalの名義でジャケットを変更して再発もされている)。タイトルの通り、エレクトリックなSEを全編にちりばめた作りになっており、ルーツから離れつつあった80年以降のレゲエの変化に、より拍車がかかったサウンドになっている。
 電子音を遊ぶように使いこなした「Laser Attack」や、イントロから多用される深いリバーブが印象的な「Dematerialise」にはサイケにも似た本作の宇宙趣味がよく表れている。70年代に隆盛を極めたファンクの傾向にも通ずる現象だが、これらはジャケットからもわかる通りインベーダーゲームから着想を得たものだ。
 Tony McDermottによる遊び心にあふれたアートワークの力も借りて硬質なScientistのダブ・サウンドはより広く認知された。グリーンスリーヴス・レーベルから発表されたアルバム群は、いわゆる〈漫画ジャケット〉と呼ばれ、いずれもダブのマスターピースとして親しまれている。