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Leaf Hound – Growers Of Mushroom (1971)

 1970年の唯一作である『Barbed Wire Sandwich』がセールス不振に終わってしまったブルース・バンドBlack Cat Bonesは、新たにBrunning Sunflower Blues Bandで活動していたPeter FrenchとMichael Hallsをメンバーに迎え、バンド名もLeaf Houndへと変えて再スタートを切った。しかし、彼らのアルバム『Leaf Hound』はツアー先のドイツのみでしか流通せず、バンドは1年も経たないうちに再び活動を終えている。
 『Leaf Hound』の内容が拡大されたアルバム『Growers Of Mushroom』は、バンドが解散した直後にひっそりとイギリス本国で発売された。早々に幻となった本作は、わずか一日のスタジオ・セッションで録音された急ごしらえの内容だった。しかし、Hallsの耳をつんざくようなギターが与える強烈な印象は、このアルバムを初期ハード・ロックの隠れた古典として却って有名にしたといえるだろう。
 「Freelance Fiend」でHallsは熱狂的なリフを前面に押し出し、8分にわたる「Work My Body」ではブルージーで壮大なギター・ソロを展開していく。Stuart Brooksの太いベース・ラインで始まる「Drowned My Life In Fear」はPeter Rossの提供した暗いラブ・ソングで、Frenchが感情的なボーカルを爆発させる。全体を覆いつくすこうしたヘヴィネスは後のストナー・ロックのひな形と言っても過言ではなく、アコースティックを交えた「Sad Road To The Sea」でさえサウンドの重さはすさまじいものがある。
 危険なドラッグ・ソング「Growers Of Mushroom」が、アルバムのタイトルとアートワークのイメージを一身に負っている。だがそれと同時に、スタジオ内でほとんど即興で生まれたという「Sawdust Caesar」で聴けるファンキーなリズムも彼らの持ち味のひとつだ。