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Billy Wooten – The Wooden Glass Recorded Live (1972)
Grant Greenの71年のアルバム『Visions』における洗練された演奏(エンジニアのRudy Van Gelderも激賞した)を支えたヴィブラフォン奏者Billy Wootenは、翌年に自身のグループThe Wooden Glassを率いて、このジャズ・ファンク・マスターピースを録音した。『Visions』にも参加していたドラムのHarold CardwellとオルガンのEmmanuel Rigginsに、ギタリストWilliam Roachを加えたバンドは、70年代の多くのブラック・ミュージックと同様に、大げさなまでにアツいグルーヴを生んでいる。それでいてWootenのヴァイブにしか出せない魅力もあり、彼のサウンドを聴いているとそのメロディの中に高揚と感傷が同時に存在しているような不思議な気分にさえなってくる。
Wootenの代名詞と言っていいオリジナル曲の「Monkey Hips And Rice」では、Cardwellのどっしりとしたリズムの上をヴァイブが自由自在に駆け巡る。ファンクの熱狂だけでなく、徹底したメロディの美学も彼らの持ち味であり、それはAretha Franklinの「Day Dreaming」やCarpentersの「We've Only Just Begun」のカバーで顕著である。
12分半に及ぶ「Love Is Here」は至ってシンプルなダンス・ナンバーだ。RigginsとRoachのソロはまるで60年代のソウル・バンドのようにピュアであり、それだけに観客の熱狂が加速度的に高まっていく様子が手に取るように感じることができるのだ。
この曲の演奏の後、アルバムはアンコールを叫ぶ声でフェードアウトする。それに応えるように、CD版ではMadlibが「In The Rain」をサンプリングしたドープなトラックが追加収録されている。