60,000,000 Buffalo – Nevada Jukebox (1972)
1960年代のグリニッジ・ヴィレッジでパワフルなブルースをやっていたJudy Roderickは、コロラド州に活動の拠点を移した69年に60,000,000 Buffaloを結成した。Bill Szymczykがプロデュースした本作はRoderickの優れた歌声が俎上に上がることが多いが、バンドの分厚い演奏や豊かなコーラスもそれと同じくらい素晴らしいアルバムで、カントリー、ブルース、ロックンロールという三大要素が非常にうまくつながりあっている。
1分にも満たない「Royalty Rag」はNY時代のRoderickをほうふつとさせる。だが、続く「Cocaine Shuffle」のファンキーでどっしりとしたメロディで、聴く者は一気にスワンプの世界へ引き込まれてしまう。「Lovely Ladies」や「Maid Of Constant Sorrow」は彼らの最大の持ち味ともいうべきルーズな魅力が爆発したナンバーで、同じくらい肩の力の抜けた「Shake It And Break It」(もとはCharley Pattonの残したラグ)との対比が効果的である。ラストの「Do What I Tell Me To」のソウルフルな熱唱もこのアルバムのハイライトだ。
これほど巧みなサウンドだったにもかかわらず、バンドは翌年には解散したため本作が唯一のアルバムとなった。ルーツ・ロックやスワンプ・ロックのコレクターに長い間愛されている一枚である。