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The Giuseppi Logan Quartet (1965)
1964年、Giuseppi LoganはNYのベルサウンド・スタジオで記念すべき最初のリーダー・セッションを行う。これをお膳立てしたのは、ボストンでLoganと親交のあったドラマーのMilford Gravesで、彼はLoganの数少ない理解者でもあった。スタジオにはGravesのほかにEddie GomezやDon Pullenといったジャズ界の未来のスターが集まり、彼らの演奏は音楽の持つあらゆる美の要素を予測不能なライブ感の中で統合した。ESPディスクの中でも特にこのアルバムは、フリー・ジャズの美的センスを表現しきった傑作である。
「Tabla Suite」ではLoganの瞑想的なオーボエをよそにPullenが常軌を逸したピアノを奏でるが、インド楽器のタブラの土着的なビートに呼応したGomezがベースをパーカッションのように手繰っている。「Dance Of Satan」は比較的明快なテーマを持ったナンバーで、Roswell Ruddのセクステット・アルバムでは「Satan's Dance」の題名で、嵐のような轟音でリメイクされた。Pullenのモーダルで美しいピアノを軸に進行する「Bleecker Partita」は、長尺だがこのアルバムで特に印象的な一曲だ。
ESPのオーナーであるBernard Stollmanによると、本作のレコーディング中に録音テープが途中で切れるというアクシデントがあったという。エンジニアがそれを正直にLoganに伝えると、彼はそのテープをもう一度再生するように言った。言われた通り、途切れる何小節か前の部分からメンバーに聴かせると、彼らはいとも自然にテープが切れた部分から演奏を再開してみせた。Loganがミュージシャンとして高いテクニックを持っていたことを伝えるエピソードである。