Art Blakey & The Jazz Messengers – Selections From "Golden Boy" (1963)
ヘロインから解放されたLee Morganが復帰したおかげでJazz Messengersがメンバーも演奏も充実期を迎えていた63年の作品『Golden Boy』は、ホーンセクションが大きく拡大された豪快なアンサンブルがなんとも心地いい。
「Theme From Golden Boy」は、Sammy Davis, Jr.による原曲「Night Song」が持っていたブロードウェイの華々しさを帯びると同時に、ハードバップのむせるような熱気も放つ。トロンボーンのCurtis Fullerが施した大胆なアレンジメントの中で、Morganは印象的なミュート・トランペットを聴かせる。オリジナルのサントラには無かったダンス・チューン「Theres A Party」では、Wayne Shorterのサックス(アレンジも彼自身によるものだ)とFreddie Hubbardのトランペットが中心となる。終盤でのBlakeyのドラムブレイクも印象的で、また「This Is The Life」は冒頭から彼特有の力強いソロが堪能できる。
発表の同年にBlakeyは二度目の来日を果たしているが、この頃は『Ugetsu』の発表など日本を意識した作品や活動が散見される時期でもある。アートワークでは東洋風の胴着をまとってこちらを厳しく見据えているが、同じ格闘技でもこの『Golden Boy』はもともとボクサーを描いた社会派のミュージカルだった。