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Jimmy Rogers – Gold Tailed Bird (1973)

 Muddy Watersとともに初期シカゴ・ブルースのサウンドの礎を築き上げたギタリストJimmy Rogersは、服屋に転身した1960年ごろからはほとんど引退状態に入っていた。カムバックのきっかけはキング牧師の暗殺が引き金となって起こった68年のシカゴ暴動で、自身の店を焼け出されてしまったRogersは、ヨーロッパの巡業やスタジオ・レコーディングにふたたび参加するようになっていく。
 73年に発表された『Gold Tailed Bird』は、Rogersにとって初のオリジナル・アルバムで、バック・バンドはThe AcesとピアニストBob Riedyという面々だ。さらに、プロデュースの一部にはFreddie Kingも参加した。若い頃にRogersに世話になったというKingは、恩返しをするかのように本作の何曲かでギターとしても参加しているが、詳しいクレジットが無いのが残念なところである。
 Rogersの歌には10年近いブランクなど全く感じさせないパワーがある。「That's All Right」のリメイクは往年のファンを満足させるが、多くのトラックは70年代風にサウンドがアップデートされている。「Sloppy Drunk」はかつてのスピーディーなシャッフルのリズムが、本作ではより重厚になって響き渡っている。
 特にKingらしさを感じさせる一曲を推測して選ぶとすれば、ファンキーなインスト「Live At Ma Bee's」だ。この曲や「You're The One」の後半で聴かれる、外連味たっぷりで鼓膜を突き刺すようなギター・ソロなどはおそらく彼のものだろう。