Jimmy Reed – I'm Jimmy Reed (1958)
今でこそJimmy Reedの当時の人気をはかり知ることは難しい。だがReedは言うまでもなくシカゴ・ブルース最大の巨人であり、そして『I'm Jimmy Reed』は同年発表のMuddy Watersのベスト盤と並ぶブルースのマスター・ピースだ。1953年以降のヒット・シングルを中心に編集されたこのアルバムは、彼の非常に独特なグルーヴと、それでいて抗いがたいポップさを見せつける作品となった。本作収録の「Ain't That Lovin' You Baby」と「You've Got Me Dizzy」はいずれも56年の米国R&Bチャートでトップ3に食い込んでいるが、これは実はWatersでさえ成し遂げていない偉業である。
Reedのサウンドの肝は、相棒Eddie TaylorのギターとEarl Phillipsのドラムが織りなす黄金のリズム・アンサンブルで、そこにReed自身のハイトーンなハープが加わって言いようのない酩酊感が生まれている。「Honest I Do」は多くのミュージシャンたちがカバーしたが、Reedの持つオリジナルのルーズな雰囲気までを完全にコピーできた者はいない。彼らにかかればブルーム調のイントロで始まる「Go On To School」も、たちまちReed節となるのである。
「Ain't That Lovin' You Baby」では、後のブルース・ロックへ受け継がれていくシカゴ流のアップ・テンポなリズムを奏で、アルバム中最も古い録音の「Roll And Rhumba」でReedは彼なりのルンバの解釈を披露している。また、「Can't Stand To See You Go」では巧みなハープを聴くことができるのも新たな発見だ。
雑学マニアしか気づかないような事実もある。「You Don't Have To Go」を含めたいくつかの曲でドラムを叩いているのは、無名時代のAlbert Kingだ。