見出し画像

Sonny Rollins – A Night At The "Village Vanguard" (1957)

 本作はサックスの巨人Sonny Rollinsにとっても、ジャズの聖地であるヴィレッジ・ヴァンガードにとっても、初めてのライブ録音盤となった。コンサートは昼と夜の二部構成で行われており、ピアノレスの大胆な構成によって解放感を得たRollinsは、リラックスしつつも挑戦的なブロウを披露する。スタンダード・ナンバーを中心に選曲されているが、フリージャズの萌芽を見出せるような奔放で個性的なアレンジは、60年以上の時を経た今も新鮮味にあふれている。
 冒頭のミュージカル曲「Old Devil Moon」のフリーキーなアレンジからして、本作は1959年のジャズ界において間違いなく異色作であり、問題作でもあった。しかし、このアルバムが名盤の誉れを得たのはElvin JonesとWilbur Wareをはじめとするリズム隊が、Rollinsのペースに惑わされない盤石ぶりを見せたおかげでもある。「Softly As In A Morning Sunrise」のJonesのドラムは、ブラシでスティック張りのソロを聴かせるなど、Rollinsがメンバーのプレイを触発していた様子が伺える点でも興味深い内容だ。
 演奏メンバーの異なる昼の部からは「A Night In Tunisia」が(オリジナル盤では唯一)収録されている。同じくドラマーであるArt Blakeyが決定版とも言える演奏を残しているが、ひと際若いPete La RocaがBlakeyにも負けない気合の入ったドラムソロを聴かせる。驚くことに当時彼は19歳だった。