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dr_kobaia
Sonny Rollins & Thad Jones – Sonny Rollins Plays (1958)
変革に次ぐ変革を遂げていたSonny Rollinsのキャリアのなかで、時代の隙間にそっと置き忘れられたようなアルバムである。
本作が録音された57年のRollinsはまだMax Roachのバンドを退団したばかりで、傑作『Saxophone Colossus』の豪快さで注目され、またピアノ・レスの風変わりなスタイルを追求しているさなかだった。そんなおり、ピリオドというマイナー・レーベルに残された本作は、ゆったりと落ち着いた雰囲気とスタンダードな編成で録音された一枚だ。
「Sonnymoon For Two」は同曲の貴重なスタジオ・テイクであり、ライブとは全く異なる印象も与えるナンバー。Jimmy Clevelandのテクニカルなトロンボーンと泰然としたRollinsのサックスの対比が見事で、それはスタンダードの「Like Someone In Love」でも同様である。「Theme From Tchaikovsky's Symphony Pathetique」ではチャイコフスキーの交響曲をジャズにアレンジする試みを見せる。
ジャケットの表を見ただけでは分からないが、本作のB面にはRollinsは関わっておらずThad Jonesのセッションが収録されている。A面とはうって変わってはつらつとした内容だ。「Lust For Life」はハード・バップの典型を行くオリジナルで、一方「I Got It Thad」はJonesの豊かなトランペットのアイデアが飛び出す素晴らしいブルースである。
ℹ️ 本作A面のセッションが行われたのは、『A Night At The Village Vanguard』のショーが録音された翌日のことである。