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Oscar Peterson – Reunion Blues (1972)

 巨匠Oscar Petersonのピアノ・スタイルには、下地にこそクラシック音楽の深い教養が横溢しているが、ことMilt Jacksonのようなプレイヤーと共演する時には、情熱的なブルース感覚がまるで相乗効果のように爆発する。これこそがブラック・ミュージックの持つあらがいがたい魔力なのである。
 『Reunion Blues』は、ヴァーヴ時代の名盤『Very Tall』からは約10年ぶりとなる二人のコラボ・アルバムだ。Peterson TrioのドラマーがEd ThigpenからLouis Hayesに交代したり、カバー曲のチョイスがやや当世風になったりしつつも、互いがブルース・フィーリングをぶつけあうように対峙しあう姿勢は変わっていない。なまぬるく旧交を温める気などさらさらない、という気概は冒頭のThe Rolling Stonesの「(I Can't Get No) Satisfaction」の強烈なカバーからもよく伝わってくる。
 前作の再演となる「Reunion Blues」はJacksonの書いたナンバー。これはPetersonにとっても大事な曲だったようで、来日公演をはじめとしたライブはもちろん、80年代以降の作品でもよくレパートリーに挙がっている。本作では「Bags' Groove」を思わせるしなやかなソウル感覚、そしてPetersonの力強いタッチに一層の拍車がかかっている。一方バラードの「A Time For Love」では、ヴァイブとピアノの絶妙な絡み合い(まるで達人同士の社交ダンスのようだ)が生むメロディが聴きもので、にぎやかな転調を迎えた後に再び訪れる静謐な味わいは鳥肌ものである。
 PetersonとJacksonは、本作のさらに10年ほど後にパブロでも共演している。中でもアルバム『Two Of The Few』などは本作よりもさらに思い切った造りで、ピアノとヴァイブ1対1のガチンコ勝負というものだった。