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dr_kobaia
Oasis – Definitely Maybe (1994)
マンチェスターから世界へ飛び出したOasisは、たちまち音楽シーンにおける台風の目となった。1994年の1stアルバム『Definitely Maybe』は、グランジやヒップホップといったアメリカ発の音楽に呑まれかけて停滞していたブリット・ポップへ決定的な活を入れた。なによりも人々を驚かせたのは、その偉業がNoel Gallagherのギター・サウンドとLiam Gallagherの生意気なシャウト、というとんでもなくシンプルな方法で行われたことだ。
今日でも世界中のロック・ファンに愛される一枚である。1曲目の「Rock 'N' Roll Star」はかなり荒っぽいやり方だが、彼らの名刺代わりのナンバーだ。労働者階級出身らしい「Bring It On Down」のパンキッシュな激しさも見せる一方で、本作で最も輝いているのは「Live Forever」や「Supersonic」、そして「Slide Away」のような伸びやかなミドル・テンポのロック・アンセムだ。他にも、T. Rexを引用したイントロから彼らのライフ・スタイルを提示していく「Cigarettes & Alcohol」のほか、今や伝説のネブワース・コンサートのオープニングを飾った「Columbia」といった素晴らしい楽曲も収録されている。ラスト曲「Married With Children」のさりげないアコースティックの輝きは、後に彼らの大きな持ち味となる才能のつぼみだ。
あまりの屈託のなさに、後追いのリスナーはなぜこのアルバムが歴史に深く刻まれているのか不思議がるかも知れない。だが真の革命とは案外単純なかたちで達成されるものなのだ。