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Don Wilkerson – Preach Brother! (1962)

 テキサスのテナーマンDon Wilkersonがブルーノートに残した『Preach Brother!』は、数ある同レーベルの作品の中でも最もダンサブルで、R&Bの持つ熱気をはらんだ一枚である。以前彼はCannonball Adderleyプロデュースのもとでリバーサイドにもハード・バップ色の強いアルバムを残しているが、ヒットにはつながっていない。 
 Adderleyに続いてWilkersonにレコーディングのチャンスを与えたのは、やはりサックスの名手Ike Quebecだった。ブルースとソウルに満ちたナンバーは全てWilkersonのオリジナルであり、サイドマンにはやはりリズム感に長けたピアニストSonny ClarkやGrant Greenといったプレイヤーが集まっている。あとは踊るだけだ。
 まるで戦前のスイングに触発されて作ったような「Jeanie-Weenie」は、一見してオールド・スクールだが、Greenのギターとサックスのピッタリと合った呼吸に驚かされる。タンバリンとシャウトが入り乱れる「Dem Tambourines」や、Bo Diddleyのようなシンプルなリズムで突き進む「Camp Meetin」で体が動かない人間など果たしているのだろうか?
 麻薬所持で刑務所に入ったためにWilkersonのレコーディング・キャリアは早くに閉ざされてしまった。しかし80年代に入ってロンドンのクラブ文化が隆盛すると、彼のアツい音楽は多くのDJによって再評価されるようになった。