Wes Montgomery – A Day In The Life (1967)
『A Day In The Life』はA&Mレーベルに移ったWes Montgomeryの第一弾アルバムであり、ビルボードのポップ・チャートにまで登場したベストセラーでもある。かねてから革新的な奏法で話題を呼んできたMontgomeryは、これで名実ともにジャズ・ギタリストのトップに君臨するのだが、発売から半年ほどで急逝してしまう。
MontgomeryのテクニックもさることながらDon Sebeskyの絶妙な編曲が功を奏し、本作はイージーリスニングの傑作にもなった。厚いストリングスはギターのサウンドを本当に良く引き立てていて、本格的でもあるが、優雅に聴きながすことだってできる。
なにをおいてもThe Beatlesのサイケデリック・ナンバー「A Day In The Life」だ。原曲よりも優雅さを増した印象のオーケストラが、Herbie Hancockのクールなピアノと魅惑的なギターの演奏を盛り立てているが、終盤に増していく狂気もきちんと再現されている。涙なしでは聴けなかったPercy Sledgeの「When A Man Loves A Woman」も、Montgomeryの歌心がさく裂しており、それが3分にも満たない曲の中にしっかりと収まってしまうのだから驚きだ。カバーのほかにも、エキゾチックな雰囲気をたたえた「Angel」というMontgomeryの書いたオリジナル曲も収録されている。
古典中の古典「Willow Weep For Me」や陽気なラテン風の「The Joker」、そしてもう一つのロック・ヒット「Eleanor Rigby」など、すべての曲が心地いいジャズと化して自然と聴く者の心になじんでくる。このレコードが大きなセールスをあげたのは、ポップ・センスに満ちたジャズ・アルバムが、いわゆる本格派のリスナーにもそうでない大衆にも受け入れられることを証明できたからだ。