インフルエンザワクチン問診業務の要点
予防接種を受けることができないケースは以下の3つ
37.5℃以上
重篤な急性疾患に罹患中
インフルエンザワクチンの接種でアナフィラキシーの既往あり
問診での注意点
妊婦:接種可
卵アレルギー:接種可
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。
卵アレルギーの有無でインフルエンザワクチン接種後の副反応を比較した研究で、副反応の頻度に差はなかったと報告されている1)。
1) Remi Gagnon, et al., JACI, 126, 317-323, 2010.
米国小児科学会は『鶏卵アレルギーがあっても通常通りインフルエンザワクチン接種が可能であり、ワクチン接種前に鶏卵アレルギーの有無を確認する必要はない』としている2)。
2)Committee on Infectious Diseases: Recommendations for Prevention and Control of Influenza in children. 2019-2020. Pediatrics.144(4): e20192478, 2019.
予防接種を受けた後の注意
接種後30分間は、副反応が起きうる。経過観察を要す。
接種後、1週間は副反応の出現に注意
接種当日の入浴はOK、注射した部位をこするのはダメ
接種当日は接種部位を清潔に保つ。 激しい運動や大量の飲酒は避ける。
高熱やけいれん等が出た場合は、速やかに医師の診察を受ける。
ワクチンの効果
感染を予防する。
症状を軽くする。
インフルエンザによる合併症や死亡を予防する。
副反応
注射部位が赤くなる、腫れる、硬くなる、熱をもつ、痛くなる、しびれることがあるが 2~3日で消失する。
発熱、悪寒、頭痛、倦怠感、一過性の意識消失、めまい、リンパ節腫脹、嘔吐・嘔気、下痢、食欲減退、関節痛、 筋肉痛も起きうるが、2~3日で消失する。
過敏症として、発しん、蕁麻疹、湿疹、紅斑、多形紅斑、かゆみ などもまれに起こる。
非常にまれだが、以下が起こることがある。
(1)ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫 等)
(2)急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等)
(3)脳炎・ 脳症、脊髄炎、視神経炎
(4)ギラン・バレー症候群
(5)けいれん(熱性けいれんを含む)
(6)肝機能障害、黄疸
(7)喘息発作
(8)血小板減少性紫斑病、血小板減少
(9)血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎等)
(10)間質性肺炎
(11)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症
(12)ネフローゼ症候群
(1)~(12)が認められたり、疑われた場合は、医師に申出る。
健康被害が生じた場合の救済は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づいて手続きを行う。