魚沼の里で八海山雪室を見学→雪室貯蔵酒を試飲
新潟の南魚沼に来た.
昼過ぎに到着して,そのままロードバイクで「魚沼の里」に向かい,「八海山みんなの社員食堂」で遅めの昼食にするつもりだったが,南魚沼は大雨.仕方なく,ロードバイクはホテルに預けて,タクシーで向かった.
魚沼の里は想像を遙かに上回って美しいところだった.芝生が広がる敷地に,ポツンポツンと店舗や蒸溜所や蔵がある.八海山みんなの社員食堂も,とても開放感がある建物だ.
八海定食・魚定食と迷ったが,フライを食べる気分ではなかったので,日替定食(さわらの幽庵焼き)とコーヒーのセットを注文した.店内にはあまざけもあり,無料で試飲することができる.一杯いただいた.
サラダの他に小鉢が3つもあり,充実していた.さわらは身が厚いことに驚いたが,これも美味しかった.
食後,雨が残る中,魚沼の里を散歩した.ガーデンがあって,本当に綺麗なところだ.
なお,今回の訪問目的は社員食堂ではない.八海山の麓,魚沼の里で「八海山雪室」を見学することだ.
事前に八海山雪室の見学ツアーを予約しておいたので,10分前に集合場所に向かった.建物内ではお土産も売っている.八海山の日本酒はもちろん,クッキーや調味料もあった.
雪室には二種類ある.かまくら型と氷室型だ.八海山は氷室型で,日本酒の貯蔵タンクと雪が別々に置かれている.
冬に雪室に雪を1000t入れて,一年で半分くらい溶けるらしい.雪室内の温度は,真冬には0℃,夏には5℃くらいを維持できて,とても安定しているそうだ.この雪室には八海山の雪室熟成三年を貯蔵しているとの説明だったが,雪室熟成八年もここで熟成させているのだろう.雪室としては日本最大規模らしい.
雪室に貯蔵されている雪が汚れている(茶色かった)のは,雪が降るときに吸い取った空気中の汚れや菌などで,真っ白に見える雪も綺麗なものではないとわかる.特に今年は雪が少なかったので,汚れが目立つそうだ.
冷蔵庫がなかった時代には,夏に,ここの雪を切り売りしていたそうだ.恐らく当時は雪がもっと綺麗だったのだろう.写真を見ても汚れているようには見えなかった.
雪室見学からの試飲だ.
雪室見学ツアー参加者は「雪室熟成三年」を試飲できる.飲めない人には甘酒のボトルがプレゼントされる.さらに,他の日本酒,米焼酎なども無料で試飲できる.実質的に飲み放題.大盤振る舞いだ.日本酒の熟成はステンレスタンクで行われるが,熟成すると味がまろやかになるそうだ.
雪室熟成三年に加えて,魚沼でしか入手できない「魚沼で候」もいただいた。
冷蔵庫の中に,720mlが49500円する八海山の純米大吟醸が置いてあってビビった.
さらに,有料試飲になるが,400円を出して「純米大吟醸 雪室熟成八年」をいただいた.参加したツアーでこれを飲んだのは私だけだったが,三年を飲んだ後でどれほど違うかが知りたかった.
有料試飲だけあって,きちんとグラスに注がれ,説明書きも添えられる.
飲んでみると,まったく別物だった.三年とは全然違うし,自分が知っている純米大吟醸ではない.とても濃厚でまろやかな感じ.グラス一杯400円の価値はある.
純米大吟醸雪室熟成八年の説明書きに,その余韻が貴醸酒を思わせると書かれている.貴醸酒を知らなかったので,尋ねてみると,「珍しいお酒ですよ.飲まれますか?」とのことで,貴醸酒も試飲させていただいた.とても甘かった.日本酒の貴腐ワインみたいなものだろうか.
雪室見学ツアーの後,一人で最後まで粘っていたので,色々と話を聞かせていただいた.
八海山の主力製品はもちろん日本酒だが,アメリカンオーク樽熟成の米焼酎も製造している.つまり,樽熟成の技術があり,蒸留酒も造れる.というわけで,南魚沼でウイスキーも作っているとのことだ.米を原料とするグレーンウイスキー.2021年ごろから作り出しているので,来年に販売開始だろうとのことだった.
また,八海山はニセコにも蒸溜所を持っている.ニセコ蒸溜所の現行製品はジンだが,それはウイスキーが完成するまでの時間稼ぎという意味合いもあって,実はモルトウイスキーも造っていて,こちらも来年販売開始予定らしい.
八海山のウイスキーがどんなものか,楽しみだ.
純米大吟醸雪室熟成八年にかなりの衝撃を受けたので,両親に飲ませてやろうと思い,八海山あわ(日本酒スパークリング)と合わせて購入し,実家に贈った.
とても充実した大人の社会科見学だった.
この後,雨が降る中,JRの最寄り駅まで歩いた.35分もかけて.駅に到着する前に踏切を横断したが,ちょうど列車が一本目の前を通過していった.そのときは何も気にしていなかったが,駅について愕然とした.次の列車が来るまで1時間以上ある.
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