大御所たる先生でも分かってないのだ
10年以上昔の、とある小さな研究会での話。
ハードコンタクトレンズ長期使用の眼瞼下垂患者さん。眼瞼挙筋が後退してるだけでなく、広い挙筋腱膜をもっている事が多いです。この場合挙筋の筋体部分(muscle belly)を引きずり出す必要はありません。術中写真で茶色の筋体は視野に収まりません。
その写真を発表で提示しました。広くて白いシート状の挙筋腱膜です。
そこへ、とあるまぶたの大御所先生がコメントしてくれました。「それは挙筋じゃないですよ。もう一枚か二枚レイヤーをめくると挙筋が出てきますよ。エッヘン」と。
「はあ?」そのドヤりっぷりに開いた口が塞がりませんでした。
まあしかし、まぶたの大御所たる人でもまぶたの解剖を理解していないという事実に驚くとともに、この業界はまだまだであり、自分に残された仕事があると感じ入ったものです。
今では勉強熱心な若手のほうがよく分かっているかもしれませんね。そしてベテランは知識で抜かれていることに危機感を覚えなければいけません。
ああ、それと若手の先生に伝えたいのは、大御所の先生が偉そうに「これだ!」と言ってても話半分に聞いたほうがよいです。私が言うことも話半分に受け止めてくださいませ。そしてたくさんの人に耳を傾けてくださいね。
追伸
とはいえ発表者をディスレスペクトする発言は良くありません。議論の場でマウント取りつつ後日しれっと軌道修正しているベテランもいます(軌道修正できるだけ素晴らしいです)。でも周りってちゃんと覚えてますからね。
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