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漢方雑談10/1の振り返りをします

10月1日(火)21:00〜
今回のテーマは、高血圧に対する東洋医学的アプローチ(後編)


どんな時に東洋医学的アプローチを検討するのがいいか

・徐々に血圧が上がり傾向の時
・健診で少し血圧が高めと言われた時
・最近太ってしまい血圧も上がったと感じた時
・ストレスやイライラ・睡眠不足など精神的な負担が掛かっている時
これらの時は、いきなり降圧薬を飲み始めるのではなく、
東洋医学的なアプローチで上手くいけば解決出来るかもしれません。
養生については、また後ほど解説します。

高血圧とその周辺症状に保険適応の漢方薬

高血圧に保険適応の漢方薬は以下のものがあります。
八味地黄丸、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、黄連解毒湯、真武湯
釣藤散、大承気湯など・・・
また、高血圧の随伴症状と言われる、のぼせ・肩こり・頭重感に対する
保険適応の漢方薬は以下のものがあります。
七物降下湯、桃核承気湯、通導散、防風通聖散、三黄瀉心湯など・・・

卵が先かにわとりが先かと一緒で、
血圧が高いことが他の症状によって引き起こされてるのか
逆に他の症状で血圧が上がっているのか、どちらかはっきりさせなくとも、
どちらかを治すことでどちらも治る可能性があります。

釣藤鈎(チョウトウコウ)、降圧効果があると言われる生薬について

効果:精神的なリラックス、神経や筋肉の過剰な働きを抑える、
血管拡張・血流改善によって、高血圧改善効果だけでなく、高血圧に伴う頭痛・めまいにもよく効くと言われている。
古典では、肝気が上逆し手足が冷え(怒って、頭に血が上り、その結果手足は冷えて)、それに伴いめまいがするのを治す。とされています。

ただ、長時間煎じると効果が減弱するので、
煎じ薬では火からおろす直前か5分前くらいまでに加えるとされています。
現在主に流通している漢方エキス製剤はそのように作られていないので、
効果としては落ちる可能性が高いです。
なのでもしかしたら、古典に従って煎じ薬として毎日服用すると、エキス製剤よりも効果がしっかりと感じられるのかもしれません。

釣藤鈎(チョウトウコウ)が入っている漢方薬(釣藤散・七物降下湯・抑肝散・抑肝散加陳皮半夏)について

釣藤散(チョウトウサン)

構成生薬:石膏、釣藤鈎、菊花、防風、麦門冬、陳皮、半夏、人参、茯苓、生姜、甘草
単独でも、降圧効果があるという研究があります。
高血圧の随伴症状(のぼせ・肩こり・頭重感)に保険適応があります。

釣藤鈎と菊花の組み合わせが肝のイライラに効くとされています。
陳皮以下の生薬は、六君子湯(茯苓・人参・朮・甘草・生姜・大棗・陳皮・半夏)に似た構成になっています。

七物降下湯(シチモツコウカトウ)

構成生薬:釣藤鈎、黄耆、黄柏、
当帰、芍薬、川芎、地黄 (→四物湯)

大塚敬節氏が自らが高血圧と眼底出血を発症し、それを治療するために作ったもの。実際に本に以下のように記載されています。
「・・・八味丸・黄連解毒湯・抑肝散・炙甘草湯・柴胡加竜骨牡蠣湯などを試したが無効。そこで出血を目標に四物湯を用い、四物湯の地黄が胃にもたれるので黄柏を加え、さらに脳血管の痙攣を予防する効があるらしい釣藤鈎、毛細血管を拡大する効があるらしい黄耆を加えた本方を考え、服用したところ1週間ほどで血圧は正常に復した。」
血圧は1週間程度で140/90mmHgから120/80mmHgとなったそうです。
誰もがそこまで下がるとは言えませんが、
四物湯には、静脈系の出血を抑える効果があり、高血圧と眼底出血には効果は期待出来ます。

抑肝散(ヨクカンサン)、抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)

構成生薬:茯苓・(白)朮・甘草・柴胡・当帰・川芎・釣藤鈎+陳皮・半夏
読んで字の如く、肝を抑える作用があり、イライラや怒りっぽさを抑えてくれます。そのため、精神的なもの、ストレスなどで血圧が上がる、その他めまいや頭重感が出ているときに、効果的です。

血圧が高いときに漢方薬を使うのならば

●イライラなど精神的なものもある場合
→釣藤散・七物降下湯・抑肝散・抑肝散加陳皮半夏・黄連解毒湯

●肥満傾向、便秘気味の場合
→大柴胡湯・大承気湯

●不安・不眠・ストレス関連症状が強く出ている場合
→柴胡加竜骨牡蠣湯

高血圧に養生で出来ること

・減塩(精製塩を避ける)
・カリウム・マグネシウム・カルシウムを摂取する
・カルシウムとビタミンDの話
・加工食品を避ける
・無機リンは動脈硬化に繋がる
・運動の効果はどのくらいあるのか
・睡眠の質(睡眠時無呼吸症候群について)
少し長くなりそうなので、
こちらについてはまた明日まとめたいと思います。

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