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新世代てんかん発作予知App案-番外編1

ヘルス/医療APPの新常識!
患者自身のアバターと対話する、
全く新しい医療アプリ誕生

こんにちは。InsightXの開発は、多くの研究者、AI専門家、疫学者、そしてアプリデザイナーといった仲間たちの支えによって進められています。

このプロジェクトの基盤となったのは、日本の東邦大学大橋病院で構築された心疾患患者向け地域医療連携システムや、2016年に開発された米国の急性期後ケア管理システムです。
ただし、これらの複雑なアルゴリズムをアップグレードする作業には膨大な時間とコストがかかりました。しかし、GTPなどのAIツールの導入により、精度と開発スピードは飛躍的に向上しました。

これまでの院内システムや研究室向けのクリティカルパス管理システム、あるいは予測モデルとは異なり、InsightXの最大の特徴は「メインユーザーが患者さん自身であること」です。
この点を最優先に考えることで、これまでにない新しいユーザー体験を提供できると確信しています。

また、医療サービスの質に対する期待もAI誕生から大きく変化してきており、患者は単なる「患者」としてではなく、自身の健康状態を管理してもらう「顧客」としての立場が求められるようになっています。

そのため、医療アプリの開発においては、従来の一般的な入力方法やチャット形式とは異なるビデオ入力を採用しました。このアプローチにより、患者中心の視点で医療提供者と患者さんのチームワークを構築することが可能になります。患者さんの負担を軽減し、より効果的なコミュニケーションを実現するためには、このような新しい手法が不可欠でした。

アバター×ビデオ入力で革命!
てんかん発作予知アプリの新常識をあなたに

1.予知アプリの精度と入力情報量

予知アプリの精度を上げようとするとウエラブルデバイスからのバイタル情報と患者さんが自ら入力するリアルタイムなコンデションや服薬確認など数多くの入力項目が必要になります。

入力項目が増えると、患者さんにとって負担が大きくなり、入力を省略したり途中でやめてしまうことが増えます。その結果、予知の精度が低下するリスクが高まります。特に、患者さんが幼児や高齢者の場合、入力方法に工夫がないと、使い勝手の悪さからアプリ自体が利用されなくなる可能性がありました。

この課題を解決するための一案として、「アバター」の導入が約1年前の仕様決定会議で議論されました。当時は、AI技術がまだ現在ほど進歩していなかったため、実現には多くの課題がありました。

InsightXが目指す斬新なアルゴリズムは、設計の骨子こそ完成していましたが、実装段階では繰り返しのテストを通じて、その精度と有用性を慎重に検証する必要がありました。

2.アバター採用で

てんかん予知アプリに患者自身のアバターを活用し、ビデオ通話機能を組み合わせて情報を記録するアイデアは、ユーザーエクスペリエンスの向上や情報の正確な記録に役立ちます。

InsightXのAIで自動生成されたアバター

◆InsightXの仕様

1.アバターの作成とカスタマイズ
患者はモバイルで自撮りして自身のアバターを作成・カスタマイズできるようにしました。これにより、患者はアプリに親しみを持ち、アプリとのやりとりがよりパーソナルなものになります。
幼児からシニアの患者さんのアバターは下記のように自由にカストマイズが可能です。

人物以外のアバターにもカストマイズが簡単操作で可能です。

CATS VERSION


DINOSAUR VERSION

2.アバターを通じたビデオ通話
InsightXでは、アバターが患者さんに語りかける形式で、ビデオ通話のインターフェースを提供します。患者さんは、アバターからの質問に答えることで、コンディションの記録、服薬状況の入力、症状の記録、さらには日記の作成を自然に行える仕組みです。

さらに、患者さんのアバターを活用して「バーチャルトリップ」(架空旅行)に出かけることも可能です。旅行先の観光案内やおすすめレストランを、アバターが30秒ほどの動画で紹介します。これにより、外出が難しい方でも、自宅にいながら世界中を旅する体験が楽しめます。

貴方のアバターが世界に羽ばたけます!

3.情報の自動記録


ビデオ通話で患者が答えた内容は、音声認識と自然言語処理技術を用いて自動で記録され、位置情報なども含めて日記や予知モデルのデータとして活用します。
加えて、InsightXではアバターとのビデオ通話時の患者さんの表情や声のトーン、呂律(発音)などからコンディションをAIで判別することが可能です。近年、AI技術は感情認識や健康状態の予測において飛躍的に進展しており、これを活用して患者の状態を多くの情報からモニタリングすることが出来、予知精度の飛躍的に向上が可能です。
詳しくは

InsightXの革新的な機能
1. 表情認識
AIは、顔の表情を分析して感情や体調の変化を判断することができます。表情認識技術は、患者の顔の筋肉の動きや目の動き、眉の上げ下げ、口の開き具合などから、以下のような情報を得ることができます:
 ・ストレスや不安の兆候
 ・痛みや疲れの兆候
 ・抑うつ状態の兆候
具体的には、顔の表情のパターン(例えば、目を閉じて強くこめかみを動かす、顔が硬直しているなど)を元に、感情や体調の変化を推測します。
2. 音声分析
声のトーン、発話速度、抑揚、呼吸の深さなどをAIが解析することにより、患者さんの心理的および生理的な状態を把握することができます。具体的には、以下の情報を得ることができます:
 ・声のトーン: 高い声や震える声は、ストレスや不安を示す可能性があり
  ます。
 ・発話速度: 異常に早口や遅い場合は、精神的な疲れや混乱を示唆する場
  合があります。
 ・呂律(発音): 口調が不明瞭や呂律が回らない場合、神経学的な問題や
  発作前兆などが示唆されることがあります。てんかんの患者の場合、発
  作が起こる前にこうした兆候が見られることがあります。
3. 自然言語処理 (NLP) と感情解析
患者の発言内容をAIが解析することで、心理的な状態や感情の変化を評価することもできます。自然言語処理(NLP)を活用し、以下のような情報を抽出することができます:
 ・言葉の選び方: 言葉やフレーズの選択から不安や混乱の兆候を捉える。
 ・文脈解析: 発言の内容やテーマを分析し、患者の精神的な状態を予測す
  る。
4. 発話の流暢さや反応時間
患者の反応時間や発話の流暢さをチェックすることで、神経的な障害の兆候を検出することも可能です。たとえば、発作前の患者には、反応が遅れたり、発話にかかる時間が長くなったりする場合があります。

技術的に必要な要素機械学習モデル: 表情や音声データを解析するために、ディープラーニング技術(特にCNNやRNN)を使用したモデルです。
データの精度: 精度の高い感情認識や音声解析を行うためには、大量の訓練データが必要です。特に、てんかん患者に特有の兆候を学習するためには専門的なデータセットが必要で2026年にリリースを予定しています。
プライバシーと倫理: 患者の個人情報やデータは非常にセンシティブであるため、収集されたデータは十分に保護され、倫理的に扱う必要があり現在運用方法とセキュリティ規約を作成中です。

リリース予定時期
技術的にはこれまでの研究や試行で可能ですが、以下の課題があります:患者ごとの個別差: 患者の状態や感情の表現方法は個人差が大きいため、AIモデルは多くの事例を学習して個別対応できるようにする必要があります。
症状の多様性: てんかんに関する症状や前兆は患者によって異なるため、発作を予知するためのAIには高い精度と適応性が求められますのでここの患者さん独自のバイアスデーターに収集が不可欠です。

4.てんかん予知機能のパーソナライズ

InsightXでは、アバターが収集したデータを基に、発作リスクを患者さんにわかりやすく説明し、注意すべきポイントをリアルタイムで通知します。特に、発作のトリガーとなる行動や要因を分析し、個々の患者さんに最適化された情報を提供します。


2023/12に作成したAIモデルでのアバター
2024/09時点でのAIモデルでのアバター

さらに、アバターは視覚的なフィードバックとして表情を用い、患者さんの健康状態を以下の5段階で示します:

  1. Excellent Health(非常に良い健康)

  2. Good Health(良い健康)

  3. Fair Health(普通の健康)

  4. Poor Health(悪い健康)

  5. Very Poor Health(非常に悪い健康)

これにより、患者さんは自身の健康状態を直感的に把握でき、日々の行動改善に役立てることができます。


あとがき

お疲れ様です、気づけば4000文字近い長文になってしまいました。プロジェクトメンバーからは「すぐに真似される恐れがある」との理由で、InsightXの詳細仕様は極秘扱いとなっています。

ちなみに欧州では、てんかん患者さんと秘密保持契約を結び、モニターとしてご協力いただくことで、アプリの仕様に関する貴重なご意見をいただいています。
しかし、日本では文化や習慣が欧米とは異なるため、欧州の評価だけを基に開発者が一方的に仕様を決定するのは、InsightXの掲げる「Be Mindful of You」という理念に反すると考えています。

そこで今回は、InsightXの核心部にあたる仕様について、ご紹介させていただきました。
読者の患者さんで「こんな機能があったら便利」、「私の欲しい機能」などご要望、ご意見があればコメント欄からお知らせください。

次回の番外編では、以下の2つの機能のいずれかをご紹介する予定です。

  • Epilepsy Plaza
    似た症状を持つ患者さんのアバターが集まり、情報交換ができるコミュニティ。

  • Epilepsy Ally
    発作時に家族や医療機関への同報通知に加え、500メートル以内にいる他のInsightXユーザーにも支援を要請できるシステム。まさに、てんかん患者さんの「味方」を呼ぶ新しい仕組みです。

お楽しみに!


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