米国の看護大学院へ行こう‼
昨日医師の米国留学のお話をしましたが、ゼミに参加して頂いている看護大学生から「米国の看護大学院へ留学したい」のメールやSMSを多数頂きました。
偶然なのですが、今年初頭にゼミの卒業生を米国看護大学院へ留学送った経緯もあり、情報もありますのでご興味がある方は是非ご覧ください。
米国では特定のスキルや高度な専門知識看護師がパンデミックもあり、数が減少しています。日本とは待遇/賃金が比較にならないほど良く女性差別もほとんどありません。
具体的な収入面で有利とされる上級学位プログラムのトップ5は、
1. Nurse Anesthetist (CRNA) – 麻酔看護師
学位:MSNまたはDNP
平均年収:約$180,000〜$220,000
内容:麻酔管理を専門とする看護師で、手術や診療中に患者に麻酔を投与・管理する役割を担います。
資格取得:CRNAとして働くには、認定麻酔看護師資格を取得する必要があり、高度なトレーニングと臨床経験が求められます。
2. Nurse Practitioner (NP) – ナースプラクティショナー
学位:MSNまたはDNP
平均年収:約$110,000〜$150,000
内容:診断や治療を行う上級看護師で、ファミリーナースプラクティショナー(FNP)、アキュートケアナースプラクティショナー(ACNP)、精神科NP(PMHNP)などの専門分野があります。
資格取得:NPとして働くには、認定試験を受け、州の資格を取得する必要があります。
3. Clinical Nurse Specialist (CNS) – 臨床看護スペシャリスト
学位:MSNまたはDNP
平均年収:約$90,000〜$130,000
内容:特定の医療分野(例:がん看護、心臓病看護、メンタルヘルスなど)で臨床知識を持ち、患者ケアの質向上やスタッフ教育を行う看護師です。
資格取得:特定の分野での資格取得が求められ、実務経験が有利になることが多いです。
4. Nurse Midwife (CNM) – 認定看護助産師
学位:MSNまたはDNP
平均年収:約$100,000〜$120,000
内容:妊娠、分娩、産後ケアを専門とする看護師で、女性のヘルスケアにも従事します。
資格取得:認定看護助産師の資格が必要で、米国内での資格試験に合格する必要があります。
5. Nursing Administration or Leadership – 看護管理・リーダーシップ
学位:MSN(看護管理・リーダーシップ専攻)またはDNP(看護管理専攻)
平均年収:約$100,000〜$150,000
内容:看護チームの管理や医療システムの運営に従事し、病院や医療機関の戦略的計画、予算管理、人材育成などを担います。
資格取得:管理職での役割にはMBAやMPHの学位を併せ持つことが有利になる場合もあります。
これらのプログラムは、それぞれが異なる専門分野やキャリアパスを提供し、上級看護職として高収入を得る機会が広がります。収入の目安は地域や経験年数、勤務先(公立/私立など)によって変動しますが、上級学位の取得がキャリアと収入の向上につながりやすい分野です。
日本のオペ室ナースの方が見たら、怒りますね。(笑)
米国の看護大学院へ留学する方法
日本の看護大学を卒業した看護師が米国の看護大学院に留学するには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下に、一般的な手順をご紹介します。
1. 留学目的・専攻の明確化
まず、留学の目的を明確にし、希望する学位(例:MSN(修士課程)、DNP(博士課程)など)や専攻分野(例:看護管理、公衆衛生、クリニカルナースリーダーなど)を決めましょう。
米国では看護学の上級学位プログラムが多様であり、自身のキャリア目標に合ったプログラムを選ぶことが大切です。
2. 入学資格・出願条件の確認
多くの米国の看護大学院は、入学者に以下の資格や条件を求めます。
看護学の学士号(BSN):日本での看護学部卒であれば、通常これに該当しますが、大学によっては追加の単位取得が必要な場合もあります。
看護師資格:米国の看護大学院では、現地のRN(Registered Nurse)資格を必須としない学校もありますが、将来的に必要となる場合もあります。
英語力:TOEFLやIELTSのスコアを求められます。大学ごとに基準が異なりますが、一般的にはTOEFL iBTで80〜100以上が目安です。
職務経験:臨床経験があると有利で、特に上級看護プログラムでは臨床経験が必須条件になることもあります。
3. 必要な書類の準備
出願に必要な書類を準備します。一般的な書類には次のものが含まれます。
志望理由書(Personal Statement / Statement of Purpose):なぜその大学院で学びたいか、キャリア目標などを明確にします。
履歴書(CV / Resume):職歴や学歴を記載します。
推薦状(Letters of Recommendation):元上司や教授からの推薦が必要です。
成績証明書:日本の看護大学での成績証明書を準備します。
TOEFL/IELTSスコア:事前にスコアを提出できるよう準備しましょう。
4. 奨学金や資金の準備
留学には多くの費用がかかるため、奨学金の申請を検討しましょう。以下のような奨学金制度があります。
フルブライト奨学金:日本から米国への留学を支援する奨学金で、看護学分野も対象になることがあります。
日本財団やロータリー財団:日本国内で募集される奨学金プログラムです。
米国の大学による奨学金:大学によっては、優秀な留学生向けの奨学金制度がある場合もありますので、大学のウェブサイトで確認すると良いでしょう。
5. 出願・面接試験
各大学院のウェブサイトで出願手続きに従い、書類を提出します。
書類選考後、面接が行われる場合があります。面接では、キャリアビジョンや留学の意欲について質問されることが多いです。
6. 合格後の手続き・ビザ申請
合格通知を受け取ったら、学生ビザ(F-1ビザ)の申請手続きを行います。ビザ申請には合格通知やI-20(大学から発行されるビザ申請用の書類)が必要です。
7. 米国での生活準備
渡航前に、住居、保険、銀行口座などの生活面の準備も進めておきましょう。また、現地での生活や文化に馴染むためのサポートプログラム(オリエンテーション)を行う大学も多いため、必要に応じて参加することをおすすめします。
8. その他:米国看護師資格(RN)の取得検討
将来的に米国で働くことを視野に入れている場合、NCLEX-RN(米国看護師資格試験)への挑戦も視野に入れておくと良いでしょう。資格を取得することで、現地でのインターンシップや就職の選択肢が広がります。
米国の看護大学院留学は計画的な準備が求められますが、キャリアにとって大きなステップとなります。
看護学上級学位プログラムへ留学する場合のコスト
米国の看護学の上級学位プログラム(例えば、MSNやDNPプログラム)は、大学やプログラムの種類によって授業料が大きく異なります。一般的な費用の目安は以下の通りです。
1. 授業料の目安
公立大学(州内生):年間$15,000〜$30,000程度
公立大学(州外生および留学生):年間$25,000〜$50,000程度
私立大学:年間$30,000〜$60,000程度
※DNPプログラムは修士課程(MSN)よりも一般的に費用が高くなる傾向があり、年間$40,000〜$70,000以上かかる場合もあります。
2. その他の費用
教材費・学用品費:年間$1,000〜$3,000
学生保険:年間$2,000〜$4,000(多くの大学が保険加入を義務付けています)
実習費(Clinical Fees):一部のプログラムで、実習にかかる追加費用が発生することがあります。年間$500〜$3,000程度
3. 生活費
米国での生活費は地域によって異なりますが、ニューヨークやカリフォルニアなど生活費の高い都市では、年間$20,000〜$30,000以上を見積もる必要があります。地方都市では年間$15,000〜$20,000程度が目安です。
4. 奨学金や経済支援
奨学金:大学や外部の財団からの奨学金を申請することで費用負担を軽減できる場合があります。フルブライト奨学金、日本財団、ロータリークラブの奨学金など、看護分野の留学生を対象とした支援もあります。
大学のアシスタントシップ:一部の大学院プログラムでは、リサーチアシスタントやティーチングアシスタントとして働きながら授業料の免除や給料を得られる場合もあります。
5. 留学生向けの学費割引制度
留学生が対象の学費割引を設けている大学もあるため、出願前に大学の留学生向けの支援制度を確認するのが良いでしょう。
留学費用は、プログラムや地域によって異なりますが、一般的な目安として学費は年間5万ドルほどかかると考えておくとよいでしょう。特に米国で看護学を学ぶ場合、現地の大学に精通している先生方とのつながりを活用することをお勧めします。日本には、米国の大学の理事や教授と親交のある先生も多く、その方々に推薦状を書いてもらうことで、入学の可能性が高まります。
さらに、推薦状の内容や、米国の知人が決定権を持つ場合には、大学への入学だけでなく、大学内で提供されるグラント(奨学金)を受けられる可能性も増します。費用を抑えるためには、各大学のウェブサイトで最新の授業料や奨学金情報を確認し、適切な経済的支援策を検討することが重要です。
私からの留学生の方へアドバイス
1.留学先海外看護大学/大学院のベスト5
まずは、ご自身が興味があるプログラムがその大学にあるのか確認するのが一番ですが、高額な月謝を払う訳ですからそれなりに卒後のプレステージが高い大学を選ぶのが重要になります。
また、大学所在地の治安や気候、住宅事情に加えて通学や買い物の移動のための自動車の必要性の有無なども忘れずに確認してください。
2.入学書類の小論文はプロに見て頂くこと
現代ではAI翻訳の発展により、誰でも手軽に論文を書くことができるようになりました。しかし、米国の医学会では、特有の構文や言い回しが求められるため、単に翻訳するだけでは不十分です。
特に重要なのは、論文を審査する相手を具体的にイメージすることです。審査員がどのような視点で論文を評価するのかを理解していなければ、英語で合格する論文を書くのは非常に難しいでしょう。成功の鍵は、医学会の基準や審査員の期待に合った論文構成を意識することです。
まとめ
私が特におすすめする大学院は、ボルティモア州(ワシントンDCの南)にあるジョンズ・ホプキンス大学です。この大学は、気候が日本に近く、住宅費が比較的安いなど、多くの魅力があります。
ただし、私が在学していた頃は、街が白人地区と黒人地区に明確に分かれており、どちらの地区に住むべきかで悩んだこともありました。現在では状況が変わっているかもしれませんが、留学を検討する際には地域の治安や住環境についても事前にしっかり調べることをお勧めします。
留学に関してご不明な点がありましたら、ぜひコメント欄からお気軽にお知らせください。ただし、多忙のため、返信にお時間をいただく場合があります。その点はあらかじめご了承ください。
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