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てんかん診断/治療には担当医のスキル(経験)がものを言う!

A.てんかん治療はどうしても担当医の経験に左右される訳

てんかん治療が担当医の経験に左右される主な理由には、以下の要因が挙げられます。

  1. てんかんの多様性: てんかんにはさまざまなタイプがあり、発作の種類や症状も患者によって異なります。例えば、焦点性発作と全般性発作では治療のアプローチが異なることが多く、発作を引き起こす原因も脳内の部位や機能によって異なります。このため、医師の経験が診断や治療方針の決定に大きく影響します。

  2. 診断と治療の複雑さ: てんかんの診断には、脳波検査、MRI、CTなどを含む複数の検査を行い、原因や発作のタイプを特定する必要がありますが、これらの結果の解釈にも熟練が必要です。また、薬物療法や手術など治療方法も多岐にわたり、患者に最も適した治療を選択するには経験に基づいた判断が重要です。

  3. 薬物療法の個別調整: てんかん治療には抗てんかん薬が広く用いられますが、同じ薬でも患者の反応が異なるため、適切な薬剤と投与量を見つけるには医師の経験が求められます。また、抗てんかん薬には副作用があり、患者のライフスタイルや他の健康状態を考慮しながら調整する必要があります。

  4. 患者の状況と生活への配慮: てんかんは患者の生活の質(QOL)にも大きく影響するため、治療は単に発作を抑えるだけでなく、社会生活や精神的な健康も考慮したものが必要です。経験豊富な医師ほど、発作の抑制とQOL向上のバランスを理解し、患者に適した治療計画を立てやすいです。

これらの理由から、てんかん治療は個々の患者に対してオーダーメイドで行われるため、医師の経験と専門知識が重要な役割を果たします。

B.てんかん診断/治療での具体的な誤審例など

てんかん治療において、診断や治療における誤診や見落としが発生することがあり、これにはいくつかの要因があります。具体的な誤診例とその背景について、以下に説明します。

1. 非てんかん性発作の誤診

  • 状況: 心因性非てんかん発作(PNES)と呼ばれる心理的要因による発作は、外見がてんかん発作と似ているため誤診されることがあります。この発作は脳の電気的異常が原因ではないため、抗てんかん薬が効かず、過剰投薬や無効な治療が行われることがあります。

  • 原因: 医師が発作の詳細を確認せずに、てんかん発作と判断してしまうことが原因のひとつです。ビデオ脳波モニタリング(VEEG)などの診断方法を使えば、PNESを区別することができます。

2. 焦点性てんかんと他の神経疾患との誤診

  • 状況: 焦点性てんかんは、脳の特定の部分に発作の原因があるため、症状が偏頭痛、片側の筋肉けいれんなどの他の神経疾患と似る場合があります。このため、誤って脳卒中や片頭痛として診断され、適切なてんかん治療が遅れるケースもあります。

  • 原因: てんかんの発作が断続的で、特徴的な脳波変化が見られない場合、てんかん以外の病気と見なされることがあります。定期的な脳波検査やMRI検査が有効です。

3. 高齢者のてんかんの見落とし

  • 状況: 高齢者におけるてんかんは、認知症や軽度の認知障害として誤診されることがあります。これは、高齢者のてんかん発作が認知障害のようにみえるためです。

  • 原因: 高齢者は認知機能低下やふらつきといった非典型的な発作症状が多く、医師が通常の加齢や認知症と誤解してしまうことがあります。

4. 発作の頻度や症状の軽さに基づく見落とし

  • 状況: 非常に軽い発作や発作頻度が少ない場合、特に小児の場合、親や教師が発作を見逃すことがあり、「注意欠陥多動性障害(ADHD)」や「学習障害」として誤認されることがあります。

  • 原因: 特に欠神発作は症状が一瞬であるため、見過ごされやすいです。学校での学習の集中力欠如など、通常の行動と混同されてしまうこともあります。

C.誤診の影響

てんかんの誤診や見落としは、不要な薬の投与や症状悪化、さらにはQOLの低下につながる可能性があります。また、正しい診断を得られないことで、患者が心理的ストレスを抱えることもあります。

D.結 論

医療現場で誤診はあってはならないことですが、医師も患者さんから信頼され頼られていると感じると、120%の力で治療に当たれるのも事実です。

医師には患者さんの生活リズムや性格など不明なことが多いのが通常です。てんかんは患者さんの日常生活やストレスの原因などを理解することが重要になります。

問診の際には、服薬の有無などについてウソをつかず、ありのままの自分を丁寧に説明することや、疑問に思っていることを素直に質問することが、お互いの信頼関係の構築に重要です。

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