その1:医師のマスターベーションに”警鐘”
背 景
このnoteサイトでも医療関係者、SIベンダー、AIエンジニア、患者さんなど多くの方々から医療DXをはじめとする医療情報の投稿が昨年年初から急速に記事数が増えています。
このように情報が爆発的に増加している現状では、読者が正しい情報を選び取る力を持つことがとても重要になります。
情報リテラシーの見極め方
特に医療分野では、間違った情報が健康や命に直接関わる可能性があるため、慎重な情報リテラシーが求められます。以下に、読者が注意すべきポイントをいくつか挙げみます。
1. 情報の出所を確認する
情報の信頼性を評価する第一歩は、その出所をチェックすることです。
信頼できる機関や専門家か
情報が厚生労働省、医学会、病院、または認定された医療専門家から発信されているかを確認します。例: 記事の筆者が医師、薬剤師、看護師などの資格を持っているか。
第三者による検証
情報が他の信頼できるソースでも確認されているか、複数の出所を比較する習慣を持つ。
2. エビデンスを確認する
医療情報は、科学的根拠(エビデンス)に基づいているかが非常に重要です。
出典が明示されているか
情報源として論文や研究データ、学術的な記事が引用されているかを確認しましょう。出典が曖昧または存在しない場合、信頼性が低い可能性があります。統計データの正確性
医療情報に基づくデータが具体的で、信頼できるサンプルサイズや統計手法に基づいているかをチェックします。
3. 記事の執筆目的を考える
情報の背後にある意図を理解することで、その信頼性をより正確に判断できます。
営利目的かどうか
商品やサービスを販売する目的で書かれた記事は、偏った情報を含む可能性があります。例: 「このサプリを飲むだけで健康になる」といった過剰な主張。
煽りや恐怖を与えていないか
不安を煽るような表現(例: 「これを知らないと命を失う」など)は注意が必要です。
4. AI生成の可能性を意識する
ChatGPTのようなAIが生成した情報は、参考として便利ですが、誤情報が含まれる可能性もあります。
AIによる生成かどうかの兆候
・専門的な分野について、曖昧で具体性に欠ける記述が多い。
・情報が最新でない可能性がある(AIが訓練された時点のデータに依存する)。AIの情報は一次情報ではない
AIが出力した情報は、あくまで補助的な参考として扱い、その裏付けを必ず取るようにしましょう。
5. 偏りやバイアスを見抜く
どんな情報も、発信者のバイアスが含まれることがあります。
片方の意見だけではないか
複数の観点から議論されているかを確認します。特に医療では、「万人に効果がある」という主張は疑うべきです。過剰な一般化に注意
「全ての人に効果的」「これが唯一の方法」といった断定的な表現は警戒しましょう。
6. 読者自身が判断力を高める
情報を取捨選択するためには、読者自身が基礎的な知識を持つことが必要です。
信頼できる学びの場を利用する
信頼性のある医療情報を学ぶために、国際的な医療機関や公的機関が提供する情報を積極的に読む。例: WHO、CDC、日本医師会などのウェブサイト。
基本的な医療リテラシーを身につける
例えば、医学用語や検査数値の基本的な意味を学ぶことで、情報を批判的に見る力を養えます。
7. 実際に困ったら専門家に相談する
最も安全で確実な方法は、信頼できる医療専門家に直接相談することです。インターネット上の情報は参考に留め、最終的な判断は専門家に委ねましょう。
注意すべき具体例
以下のような記事や投稿は特に注意が必要です。
「誰にでも効果がある〇〇療法!」
「最新の研究では〇〇が危険と判明」と書かれているが、出典がない。
「AIが提案する健康法」など、AI生成情報そのままでエビデンスが薄い記事。
まとめ
読者は情報に対して「鵜呑みにしない姿勢」を持つことが最も重要です。そのためには、出所の確認、エビデンスの有無、発信意図の把握、複数の情報源の比較を心がけましょう。また、医療情報について迷った場合は、最終的には信頼できる医療専門家に相談することで、リスクを最小限に抑えることができます。
こうした「情報リテラシー」を高める習慣は、今後ますます重要になるでしょう。
次回は「医師が医師へ発信する情報の精度」に関してをお届けします。