高プロラクチン血症ー勉強用ノート📝
高プロラクチン血症の勉強用ノートです
1. 概要
血清プロラクチン濃度が20-100ng/mlの患者の大半は原因が見つからない
ほとんどの患者では数年間のフォローアップ中に血清プロラクチン濃度は変化しない
Mild hyperprolactinemia (20-50 ng/mL):
軽度の高プロラクチン血症は月経周期に異常が無くても不妊の原因となることがある
特発性高プロラクチン血症:
MRIで視床下部-下垂体が正常であり、薬剤性など含めて明らかな原因がない場合に診断。画像にうつらない小さな微小腺腫がの可能性はある
2. MRI検査の適応
プロラクチン濃度が100 ng/mLを超える場合(薬剤性の可能性があっても)
MRI検査を推奨し腺腫などチェックする
3. 薬剤性
抗精神病薬:視床下部におけるドーパミンD2受容体の遮断による
第一世代(クロルプロマジン、フルフェナジン、ハロペリドールなど)は中程度から高い頻度でプロラクチンを上昇させる
第二世代(アリピプラゾール、クロザピン、イロペリドンなど)は低い頻度でプロラクチンを上昇させる
抗うつ薬:
三環系抗うつ薬(アミトリプチリン、クロミプラミンなど)は低い頻度でプロラクチンを上昇させる
SSRI(シタロプラム、フルオキセチンなど)はまれにプロラクチンを上昇させる
その他の薬物:
制吐薬(メトクロプラミド、ドンペリドンなど)は高頻度でプロラクチンを上昇させる
4. 妊娠と高プロラクチン血症治療マネジメント
排卵を可能とするために血清プロラクチン濃度を下げる薬物治療が必要な場合、ドーパミン作動薬を推奨(Grade2C)
妊娠確認時:
ドーパミン作動薬(カベルゴリン、ブロモクリプチン)は中止する。妊娠中の継続使用の安全性が確立されていないため。
腺腫がある場合は3ヶ月毎に評価
妊娠確認時にカベルゴリンを服用している女性の妊娠数は少ないものの(968例)、薬剤の安全性は示唆されている。700件以上の症例を対象としたあるレビューによると、流産(7.5%)、多胎妊娠(2.4%)、奇形(2.4%)の発生率は一般人口と比較して高くなかったと報告されている。
Molitch ME. Endocrinology in pregnancy: management of the pregnant patient with a prolactinoma. Eur J Endocrinol 2015; 172:R205.
5.出産後の管理
出産後の授乳中はドーパミン作動薬の使用は禁忌では無いが使用すべきでは無い。薬剤自体が授乳を妨げるから
腺腫が大きく視野障害を来たしている場合は例外として、授乳を避け、ドーパミン作動薬で治療される
6. 治療薬の選択
カベルゴリン:
初期治療として推奨。週に2回0.25 mgから始め、必要に応じて増量
初期治療としてカベルゴリンをブロモクリプチンよりも好まれる(Grade2C)
ブロモクリプチン:
吐き気が少なく、プロラクチンを下げる効果が高いが、妊娠中の使用には慎重を要する。ドーパミン作動薬暴露の胎児リスクは先天異常を引き起こさない確実性はやや高い
7. 薬剤Dose調整
カベルゴリン:
開始用量は週に2回0.25 mg、1-2ヶ月後に血清プロラクチン濃度が正常化しない場合、用量を週2回0.5mgに増やし、必要に応じて週に2回1 mgまで増量可能。
就寝時に投与することで吐き気や起立性低血圧のリスクを下げる。
ブロモクリプチン:
最初の1週間は就寝時に1.25 mg、その後1-2ヶ月間は1日2回1.25 mgに増量。その後、血清プロラクチン濃度が正常に達しない場合、必要に応じて1日2回2.5mgに増やし、5 mgまで増量可能。
吐き気が生じたり、プロラクチンが正常化しない場合はカベルゴリンへの変更を検討する
このまとめは勉強用です。
治療に当てはめる場合は、医療専門家と相談し、個別の診断と治療計画を確認してください。