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2040年、地域の診療所医師が全国的に半減するらしい
今回は、厚生労働省が示した将来予測データをもとに、「2040年には地域の診療所医師数が全国的に大幅に減少するかもしれない」というニュースについて考えてみたいと思います。
2040年には全国的に半分以下に減る!
厚生労働省は、医師が“80歳で引退して後継者がいない場合、そして新たな開業がない”と仮定したシミュレーションを公表しています。
結論から言うと、その条件で推計すると、2040年には診療所で働く医師数が全国平均で約40~50%台も減少する見通しなのです。
地域ごとに見ると、
北海道:47.2%減
東北地方:54.0%減
関東地方:41.5%減
中部地方:48.4%減
近畿地方:48.2%減
中国地方:53.2%減
四国地方:56.4%減
九州地方:49.3%減
特に、四国地方では「二次医療圏」がすべて50%以上の減少が見込まれる
いう厳しい見通しになっています
「二次医療圏」でわかる地域格差
医療計画などで使われる「二次医療圏」という単位で分析しているデータもあります。これはおおむね“入院治療が完結するエリア”として都道府県が区分しているもの。
2020年から2040年にかけて「診療所医師数が50%以上減る」と見込まれる二次医療圏を地域別にまとめると、北海道で16圏(全体の76.1%)、東北で27圏(73.0%)、四国は「全16圏すべて」が50%以上減少など、地方部でのインパクトがとても大きいことが分かります。
一方で、いわゆる大都市圏では、相対的に減少割合が抑えられる傾向があります。都市部に医療資源が集中しやすい構造的な課題が背景にあるのでしょう。今後、高齢化や医療ニーズの増大を考慮しても、地方にとっての打撃は相当大きいと推測されます。
なぜこんなにも減少するのか?
一番大きな要因は「高齢化」です。
開業医であっても、年齢が80歳を超えてくれば引退が考えられる
後継者となる医師が地域に残らない・集まらない
そもそも、若い医師の総数自体が限られている
こういった状況から、地域の診療所を引き継ぐ医師がいなくなるという問題が顕在化しているのです。さらに「新規開業のハードル」も上がっていることが指摘されています。
医師の働き方改革や医師不足が社会問題化する中、都市部の病院などに医師が集中する傾向が強まると、地方の開業希望者はなおさら少なくなるかもしれません。
地域医療はどうなる?
高齢者が多い地域では、かかりつけ医がいるかいないかで医療へのアクセスが大きく変わります。診療所医師が減ってしまえば、ちょっとした体調不良でも遠方の大病院へ行かざるを得なくなります。不便ですが、医療スタッフもいないので他にやりようがありません。
現在、国や自治体、医療界では「地域医療の守り方」を模索し始めていますが、すぐに効果が出る解決策は少ないのが現状です。
予防医療に大きく舵を切っているようにも見受けられます
オンライン診療は地域医療に対する回答として、より普及する可能性が高いです
もちろん、医療の根本的な構造改革は国レベルでの議論と取り組みが不可欠です。地道な取り組みの先か、抜本的な改革によって地域の医療が守られる未来はどちらがになるでしょうか
まとめ
2040年には診療所医師数が全国的に半減する見通し。特に地方での減少が深刻。
四国は全二次医療圏で50%以上減少が見込まれるなど、地域によっては医療アクセスの悪化が顕著に。
医師不足や後継者不足、新規開業の減少が背景にあり、今後も加速する恐れがある。