「ファッションが教えてくれること」 働くことは、生きること
パートで働かせていただいているためにあまり大きな声では言えないが、私だっていっぱしの職業婦人である。仕事が嫌な日だって、辛い日だってある。
そういう時に力になってくれるのが、「ファッションが教えてくれること」です。ファッションに興味があるなら観た方がいいよ!という薦め方はこの映画にはふさわしくないのではと思うのだ。
もちろん氷の女王アナ・ウィンター様に憧れている女子たちも必見ではあるが、仕事に疲れたわれわれ職業婦人をも癒してくれるのだ。
なぜなら、働くことは次々降りかかる理不尽とどうにか折り合いをつけることだから。
働くことは生きること、と篠原涼子だったか真木ようこだったかがドラマで言っていたが、生きることだって連続する理不尽との直面なのだ。
というわけで、映画の登場人物たちがアナの理不尽や横暴(に見える)な言動と戦ったり折り合ったりしながら仕事をする姿がなぜか癒されるのだ。私も、昔のブラック勤めだった頃を思い出したい時があるので、そういう時にいつも手に取る映画である。
やはり心を寄せたくなる人物はグレイス・コディントンで、彼女のまっすぐな生真面目さが自分にはないもので眩しい。
行き詰まってしまい、心折れそうになっている後輩に対して「優しい、いい人になってはだめよ。私に対してさえもね」と声をかけるところは、くぐってきた修羅場の壮絶さを想像させるのだった。
ただこの気持ちは、仕事は嫌な思いをしてまでするものではない、とか、好きなことして生きていきたいんだ、という人にはわかってもらえないだろう。でもそれでいい。
きっと私はこれからも、仕事がやんなっちゃった時にこの映画を観るだろう。