その12 栄養士の出番です①
地域高齢者の健康、要介護高齢者の健康を考える時、重要な因子の1つは栄養です。一番重要と言っても過言ではないかもしれません。だからこそ、地域で栄養士の役割は大きいのです。
個人的に、地域における栄養士の役割は大きく3つあると考えています。1つは、要介護状態になった高齢者への訪問栄養指導、2つ目は要支援やその前段階の高齢者に対する予防的関わり、そして3つ目は、幼児から現役世代に対する積極的栄養戦略(パフォーマンスアップ)。これらが十分に機能しなければ地域食支援の完成形とは言えないと考えています。今回は訪問栄養指導から再確認してみましょう。
「訪問栄養指導」と聞くと、それを知らない人たちは、文字通り利用者宅に訪問し、栄養指導をする(押し付ける)ものと思ってしまいます。しかし、その趣旨は全く異なります。その方の生活背景、状況、既往をアセスメントし、その生活の中でできることを考え、より良い栄養状態、より良い生活状態に導くことです。例えば、その人の栄養状態に対しベストな食べ物を提案したとしても、本人が食べることを拒否するようなものであれば「訪問栄養指導」ではありません。生活の中で成果を上げていくことが「訪問栄養指導」です。
さらに、その方の口から食べる機能に合わせた食事形態(硬さやトロミなど)を提案し、その現場で実現できる工夫をしていくことも「訪問栄養指導」です。それ以外にも状況に応じて役割はありますが、すべては生活支援です。
「訪問栄養指導」を正しく理解すればそのニーズもサプライ(供給)も多くなるはずです。それは地域の力になります。まずは、食支援職種である医療、介護職が「訪問栄養指導」を正しく理解するところから始まります。今こそ、栄養士の出番です。
訪問栄養指導とは、その方の生活背景、状況、既往をアセスメントし、その生活の中でできることを考え、より良い栄養状態、より良い生活状態に導くこと。
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