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その60 栄養士の出番です②

 地域の食支援を実践していますが、自分はまだまだだなぁと思うことがあります。「どうしても口から食べたい。何とかしてください!」と言われれば、これまでの経験を生かしてできることを全力でやります。問題は逆のケースです。「別にいい」と言われると本当に手出しできなくなってしまいます。

 食に対する意識は千差万別です。本当に美食家と言われる方がいたり、とにかくB級グルメを腹いっぱいという人もいるでしょうし、人の評判を追いかけて楽しむ方もいるでしょう。その反対に、毎日同じようなカップラーメンだけでいいという人や何だったらサプリだけでもいいという人もいます。

 いわゆる摂食嚥下障害になると事情はもう少し複雑です。昔から食への関心の薄い方はそのままかもしれません。しかし、以前グルメであった方の中でも食の意識を失う方がいます。「以前よりおいしく感じない」「とろみがついていておいしくない」「介護食の見た目が悪い」などなど、食への欲求が高いばかりに希望を失う方がいます。

 歯科にできることは食べる機能の維持向上やお口の環境整備です。本当にその方に寄り添い、食の意欲の向上させることは…なかなかできません。それこそが管理栄養士の真骨頂ではないでしょうか。なぜその方が食べる意欲を失っているのかをしっかり理解し、その方に寄り添いながら次のステップに進めていくこと。それが地域の訪問栄養指導なのです。

 最期まで口から食べられないのは機能や環境のせいだけではありません。その方の意欲です。食べる意欲だけでなく生きる意欲をも引き出すのが訪問栄養指導です。

 最期まで口から食べるためには機能、環境に加えて本人の食べる意欲が必須です。食べる意欲を引き出し、生きる意欲をも引き出す訪問栄養指導は重要です。


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