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【病院で働くということ】・・・Vol.29:勤務医が歳をとって感じた自分のカラダのこと

今回は少し自分自身のことを書いてみようかと思います。
現在私は地方の小規模病院で病院管理者をやっておりますが、1年前までは市中の中規模病院で消化器外科医をやっておりました。
研修医の頃から外科医に憧れ、そのまま四半世紀を外科医として過ごし多い時で年間300例近い手術(半分以上は執刀医として)に携わってきました。
外科医を辞めた理由はいくつかありますが、やはり年齢的にキツくなったことは大きな要因です。
これについて少し振り返ってみたいと思います。
 

年齢による変化


40代後半くらいから自分の体の変化で感じたこと。
まずはあきらかに仕事に必要な体力が落ちました。
 
一番は当直業務による体の負担が大きくなったことです
当直明けのしんどさが堪えます。
若い時ならどんなに眠れなかった当直の次の日でも日常業務は難なくこなし、帰って自宅で一晩寝れば疲労回復していたものが、段々と翌日どころか翌々日、場合によっては当直終了後の数日間疲労が抜けないこともザラです。
週2回は当直をこなしていた頃では考えられないような疲労度の蓄積に気分も滅入ります。
 
それでも通常業務はこなさないといけないので、業務開始前にエナジードリンクに手を出して束の間のハイな気分で乗り切ろうとしたりしていました。
まあ体にはよくないですよね。
 

外科医としての加齢性変化


私はつい先日まで約25年間外科医をしておりました。
外科医として感じた加齢性変化としては、一番に手術中に年齢を感じたことといえば、細い糸が見にくくなったことでしょうか。
手術室の照明(無影灯)の光度が低く、術野が暗いときは余計にそれを感じていました。
なるべく術野を明るく保つこと、周囲のサポートをもらいながらなんとか凌いでおりました。
 
でも幸いなことに、よほどの長時間手術で無い限り手術中に休憩を取らざるを得なかったり、手が震えて手術の進行の妨げになるようなことはなく、なんとか外科医を続けることができました。

ただ外科医の仕事は手術を行うことだけではなく、手術を受けられる患者さんの術前術後管理や、合併症対応など、多岐にわたります。
外科医の業務の一から十までの全てを一人でこなすことに、徐々に限界を感じるようになり、メスを置く決意に至りました。

大きな事故を起こしたり、自分自身の体調を崩すようなことになる前に決断できたことは良かったと思っています。
 

歳をとってできるようになったこと

年齢と経験を重ねたことで上手になったこともあります。

一つは休息の取り方です。
椅子の背にもたれたまま仮眠ができると一時復活。
これは明らかに若いときより上手になりました。
 
そして患者の状態変化の予測がある程度できるようになって、想定外の事態が若い時よりも減りました。

ただそれでも患者さんの状態の急変や、臨床の現場で起こりうる様々なの状況の変化に振り回されることは、入院での担当患者がいればつきることはありません。
このあたりが臨床医の難しいところ、大変なところです(もちろん自分の能力のせいかもしれませんが・・・)。
 

年齢を重ねることの意義


年齢を重ねれば加齢性変化を自分自身で感じることも多くなり、時にはそのことにとてもショックを受けてしまうこともあります。

しかしそれを受け止め、歳を重ねたからこそできる様になったことを武器としながら、前向きに医療に取り組んでいけるように気持ちを切り替えていきたいとは思っています。
 
外科医としてメスは置きましたが、臨床への熱意が衰えないうちは、医療の現場に立ち続けたいというのが今のところの願いです。

以前に書いた高齢医師に関する内容です。ご参考までに。

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