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医師のキャリアアップを考える(専攻医~卒後15年目くらいまで)

 医師のキャリアアップについて、前回は研修医~卒後5年目くらいまでの期間について書きました。今回は専攻医といわれる時期の後半(卒後5年目前後)から15年目くらいまでの医師としてのキャリアアップの考え方を書きたいと思います。
 
 医師として臨床経験5年目くらいになると、専門とする領域の疾患は一通り経験し、早ければ専門医取得が視野に入ってきます。診療科によっては「一人前」な臨床医として周囲から認められつつある時期かもしれません。
 しかし実際のところ、自分一人ですべての症例の治療方針は決めることはほぼなく、上司にあたる指導医や先輩医師の指示の下に診療を行っていると思います。患者さんからすれば一人前でも、臨床医としては半人前にもならない未熟者といえるかもしれません。それでも研修医との違いは、自分の医師としての実力がどの程度のものかが身をもって分かっていること、それにより自分一人で判断すべきことかどうかを見極めることが出来るようになっていることでしょう。様々な臨床の場面で判断が少しずつ速く正確に出来るようになり、自信がついてくる時期だと思います。
 
 またこの年代では学位取得のための大学院に入ることになったり、医局人事において様々な規模の病院で働く機会が多くなりますが、そこで新たに出会う指導者やコメディカルスタッフ、患者さんとの経験が医師としての経験値につながっていきます。
 
 一方でこの時期は、年齢的にもプライベートでの大きなイベントを経験することになる人が多いです。具体的には家族が増えたり、逆に親の介護の問題が顕在化したり、実家が開業医である人にとっては後継者として親族の中で意識され始める時期かもしれません。
 
 医師として最も経験値と臨床能力が伸びていく時期に、どっぷりと臨床に身を置きつつ、ワークライフバランスを保ちながらプライベートも充実させていくのは非常に大変です。相応のエネルギーを要しますし、パートナーがいる場合にはその協力が欠かせません。それでも多少の激務にも体力とエネルギーをもって乗り越え、さらに自信を深めつつ自身の経験と能力が伸びていくこと実感できるこの年代は、医師のキャリアの中で最も輝かしい期間と言えるでしょう(過ぎ去りし日々を懐かしむおじさんです…)

 この期間に全方位的に全力を傾けることで、これ以降の医師としてのキャリアに違いが出てくることは間違いありません。健康に留意し、周囲に感謝の気持ちを持ってキャリアアップを目指していただきたいものです。

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