
インプットとアウトプット:医師の人間性を形成する術
医師は診療という領域において患者さんと常に向き合っていかなければいけません。診療の中で患者の人生・価値観と向き合いつつ、想定される医療の必要性とリスクを説明し、治療方針を決定していくことが求められます。
まさしく患者さんの人生に医療をもって介入することになるわけです。
患者さんの疾患がその後の人生に大きく影響する状況であれば、なおさらその役割は重要になります。
患者さんの人生の決定に関わる覚悟
「はたして自分にその資格があるのだろうか」
ふと不安になることがあります。
患者さんの多くは自分より年長(最近は少しずつ自分より若い患者の割合が増えてきましたが)であり、治療方針のみならず今後の人生に対してある意味では「こうあるべき」とか「こういう方向が望まれる」と指南することになります。
説明に説得力がなければ、話の内容を受け入れてもらえません。
言葉の使い方一つとっても、非常に繊細な対応が求められます。
「患者に寄り添って」
と言葉では言うものの、そう簡単なものではありません。
まずはその患者さんの生き方・価値観を受け止めるだけの自分の懐の深さがなければ、患者さんの人生に寄り添うことなどできません。
ガイドラインに準じた治療方針を、患者さんの前でただ棒読みするだけでなく、治療を行うことでその人の人生にどのような影響を及ぼしうるか、
ということ想像しながら説明するには、人間としての目の前にいる人への共感力が必要とされます。
その一連の作業がアウトプットとすれば、それが適切に行われる人間力を培う作業がインプットといえると思います。
インプットといっても一体何をすればいいのか?
外科医駆け出しの時にはインプットと言う言葉も知らず、自分の人間性を高める方法にただ途方に暮れていた時期もありました。
それでも、
結局は読書をしたり映画を見たり、
自分の人生を見つめ直したり、
自分の時間をきちんともって心に余裕を持つことなのではないか
と最近は思うようになりました。
これまでの臨床医の経験の中では、仕事によって疲労困憊し、休日は体力の回復に充てるしかない、つらい時期もありました。
精神的にきつい状況では、自分自身の感性や教養を磨くためのインプットの時間を作ることまで気持ちが回らないことも多かった様な気がします。
医師にも個々の仕事量のキャパシティーに違いがあり、インプットの時間をどのくらいの時間、どんなことをすればいいかは一概には言えません。
ただ個人的には少なくとも週に半日以上、仕事のDutyから解放される時間が必要なのかなと感じています。
もちろん、その時間をどのように使うかはその人次第です。
勉強をする人、思いっきり遊ぶ人、家族との時間に充てる人。
それぞれ違いがあっていいと思います。
インプットは他人のためではなく、本当に自分のためにするものであってほしい。
「自己研鑽」などと言う言葉が世の中蔓延っていますが、
身を削って職場や上司のために勉強することは正しいインプットとは言えません。
自己反省も含め、余裕を持った日常を送ることがなによりも大切なのではないかと思う次第です。
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