医師との会話で大切なことを教えます
「お医者さんと話をするのは緊張する、何を聞いたらいいか分からない」
という声をよく聞きます。
間違ったことは聞いちゃいけない、素人が勝手な判断はしてはいけない、というプレッシャーもあるかもしれなません。
医師も人間なので、疲れている時も機嫌が良くないこともあります。でも基本的に目の前の患者の訴えはきちんと聞く意志をもっているので、会話の冒頭から患者さんやご家族のお話を否定することはないと思います。
今一番つらいことは何か、いつから症状があるのか、これまでの経過はどだったか、を順序立てて話をすればそれまで病状の経緯が整理され、診断につながりやすくなります。
注意して頂きたいことは、
「とりあえず薬だけ出してもらえれば」
「明日仕事(学校)に行けないと困るので」
など、自身の結論が先にありそれに沿った治療や検査・投薬などを医師側へ要求すること。
私自身も「なぜこの人(患者さん)は病院に来たのか」という理由付けを大事にする方なので、「これだけのことをやってもらえればいい」というスタンスで来られるとさすがにカチンときます。
逆に、
「こんなことを聞いたらいけないかもしれないんですけど・・・」
と前置きをされてから質問をされることは、たとえ本筋と若干はずれる内容であってもあまり腹は立ちません。
そのような質問の多くは、患者さんご自身が自分なりの解釈で現在の症状と理解可能な病名・病態を漠然と結びつけてしまっていることからくることが原因だからです。
医療者ではない一般の方は、たくさんの不安な症状をどうしても一つの病名に結びつけがちです(分かりやすい方に思考が向いてしまうのは仕方ありません)。
身体に起こっている様々な現象をすべて一瞬で説明できるほど人間の身体は単純じゃありませんし、それを一発で解決できる医師はなかなかいないと思います。時には治療開始からの時間経過の中で診断が徐々に明らかになってくることもあります。
「まずはこれ(この治療)で様子を見ていきましょう」
という医師の言葉は、時々患者様から否定的なコメントを頂くこともあるのですが、
「見逃してはいけない重篤な状態は現状では否定的だけど、まだ確定的ではないから、頻度が多く、症状に対して効果が期待できる治療から始めますよ」
と言う意味合いが強く含まれています。
外来診察では短い診察時間になってしまうこともありますが、医師も可能なかぎり説明を尽くそうとしますので、ぜひ気になることがあればその場で質問をしてみてください。