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医師のキャリアアップを考える(卒後30年目くらいから引退まで)

医師のキャリアアップを考えるシリーズも4回目。
今回は卒後30年目以降の医師キャリアの最終盤の時期を考えていきたいと思います。
筆者もまだ卒後30年には至っていないので、残念ながら経験則で述べることは出来ませんが、過去に出会った多くの先輩医師の働き方を観察し、時にはその時々でお話を伺ったことも踏まえながら書いていきたいと思います。
 

医師はいつまで働ける?

【病院で働くということ:Vol.15 高齢医師の悲哀】の回で描きましたが、一部の公的病院や大学病院などを除き、医師には決まった定年退職の年齢がありません。筆者の周りには70歳を超えてますます元気に診療をされている先生は多くいますし、開業の先生の中には90歳を超えて毎日外来をされている方もいらっしゃいます。
 
 ただ当然のごとく年齢を重ねれば診療の質は下がりますし、自分がトップの立場ではない勤務医の場合は、管理者から徐々に診療縮小を求められることは容易に想像がつきます。
 
 医師側がそういった事態を避けたいと思うのであれば、診療の質・量の低下を補うだけの別の能力や技量を持つことが求められるでしょう。若手医師の教育や組織の運営など、管理職として経験豊富な年長者であることが有利に働きます。
 但し管理職を引退ぎりぎりまで続けることは医療機関・法人の創業者ぐらいでなければ出来ないと思いますし、現場で指揮を執ることにも相応のエネルギーを要しますので、どこかのタイミングで一線を退くことになると思われます。
 
 筆者が見てきた多くのベテラン医師達は、自身の体力や診療能力、職場で求められる業務内容・質を吟味し、無理のない範囲で仕事を続けていました。

クリニック医師の場合

 クリニックの医師では後継医師(最近は親族がそのまま継承することは徐々に減っていると思います)に徐々に引き継ぎをしながら、徐々にご自身の業務量を調整されていることが多いようです。ただ必ずしもバトンタッチは上手いくとは限らないため、やむを得ずクリニックを閉院せざるを得ない事例も多く見聞きします。
 

病院勤務医の場合

 病院勤務医の場合、病院で決められた定年を過ぎた後は同じ施設で非常勤勤務に切り替えたり、人脈を頼って他の施設に異動しているケースが多いと思います。
 いずれの場合もお金のために仕事をするという感覚ではなく、社会とのつながりや自分の経験や医師としての診療能力を無理のない範囲で出していければいい、という思いで働かれているのではないでしょうか。

 一般のサラリーマンのように定年退職後は全く仕事をせず、趣味や地域活動に入っていくような医師はあまりいないと思われます。
 
 筆者から見ても、比較的高齢の先生たちはほぼ例外なく、社会のため、病院のため、患者さんのために自分でよければ仕事しますよ、という余裕があふれています。それでも与えられた仕事はきっちりやり遂げる責任感に満ちた先生方が多いです。
 

ベテラン医師の特徴

 その年齢まで現役で仕事をされている世代の先生方が若い頃は、今の働き方改革とは真逆の働き方であったと思いますし、数々の荒波を乗り越えてきた猛者達でしょう。
 
 「心の余裕と責任感」

 この両方兼ね備え、職場にも頼りにされ、仕事を続けることで自身の健康と精神の安定を維持することができるようなベテラン医師をぜひ自分も目指してみたいものです。

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