【数学・網羅系参考書】基礎問題精講や標準問題精講を推奨しない理由
1.はじめに
旺文社から出版されている数学の基礎問題精講・標準問題精講は人気の参考書であり、逆転合格を謳う某フランチャイズ塾でも参考書ルートに載っています。
しかし、クラーク大学受験研究所では、これらの参考書の使用を推奨していません。
その理由について説明していきます。
2.網羅性の低さ
基礎問題精講は、教科書内容が完全に理解できている前提で作られています。そのため、本当に文字通り「基礎」に抜けがある受験生が使うと上滑りを起こします。教科書の問題が8割程度は解けることが基礎問題精講を使う上での必須条件になりますが、そこに不安がある受験生は基礎から応用までを広く網羅している参考書を最初に選んでおくほうが、抜け漏れなく学力を積み上げることができます。
また、青チャート等の網羅系参考書と比較した際に、基礎問題精講と標準問題精講を合わせても、青チャート等の参考書に比べ網羅性が劣ります。
すなわち、本来ならば典型問題で考える間もなく処理しなければいけない問題が入試で出題されたとき、基礎問題精講と標準問題精講を使って学習してきた受験生は、解くスピードについて劣るか、手出しできない状況になってしまうことがあります。
3.接続の悪さ
数学の精講シリーズは、入門・基礎・標準・上級とレベルが分かれていますが、著者が統一されていないこともあり、各レベル別の段階で要求される実力が異なるため、次のステップへと進む際に上滑りを起こしやすくなります。
特に、基礎問題精講2Bから標準問題精講2B、基礎問題精講3から標準問題精講3の学習レベルの乖離が大きく、ここでつまずく受験生が毎年後を絶ちません。
数学の才能があって、難なく接続できた一部の方々の成功体験は、単なる生存者バイアスです。凡人は殆ど再現できないので覚悟してください。
青チャート等の網羅系参考書を使うほうが、レベルの断絶なく学習を進められるので、基礎問題精講と標準問題精講で学習を進めるメリットは殆どありません。
4.おわりに
仮に基礎問題精講の使用を推奨できる受験生がいるとすれば、絶対に現役合格せねばならないが、受験学年まで数学の本格的な学習を放棄してきた受験生に限られます。
しかし、その場合は、数学を捨てて地歴または政経に学習時間を振ったほうが難関大への合格率は上がります。
要するに、基礎問題精講に手を出さなければならなくなった時点で、難関大学受験は半分詰んだ状況です。
なお、文系の方は1年あれば分厚い網羅系参考書も完璧にできますので、「薄いから」という理由で安易に基礎問題精講に手を出さないほうが無難です。コツコツと網羅系参考書でできる範囲を広げていきましょう。
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