脳活とチョコレート
脳活って必要ですね
ちまたでも飽きるほど話題になっていますが、認知症は近年ますます増加している疾患で、厚生労働省の発表では、現在65歳以上の7人に1人が認知症で、10年後には5人に1人まで上昇すると推測されています。また認知症の前段階である軽度認知障害の高齢者も同数程度いると考えられ、65歳未満で発症する若年性認知症増えているのが現状です。介護世代では、より身近な話題です。
ちなみに、認知症にはいくつかの種類があるのはご存じでしょうか?
最も多いのはアルツハイマー型認知症で、次に脳血管型認知症です。アルツハイマー型認知症は脳にアミロイドベータのいうタウタンパク質がたまることによって正常な脳細胞が破壊される病気ですが、なぜアミロイドベータがたまるのかについてはまだ解明られていませんが、糖尿病や高血圧がある人は、アルツハイマ型認知症になりやすいと言われているため、生活習慣病が関与していると思われます。
チョコレートで脳活?!
実は、もともとチョコレートに含まれるカカオポリフェノールは、血管をしなやかにし、丈夫にする働きがあることが分かっていて、動脈硬化を予防することにより間接的に認知症を予防します。さらに、チョコレートにはもっと直接的に認知症を予防する効果があることがわかりました。
2014年に、愛知県蒲郡市、愛知学院大学と株式会社明治との産学官共同でチョコレート摂取による健康効果に関する実証研究を実施しました。実証研究では、45〜69歳までの347人に、1カ月間、カカオポリフェノールを多く含む高カカオチョコレートを4週間1日25g食べていただき、参加の方の体重、BMI、血圧の測定、血液検査、尿検査を測りました。
チョコレートの摂取前と摂取4週後の検査結果を比較した結果、血中BDNF(脳由来神経栄養因子)が上昇したとの結果が発表されました。
BDNFは、神経細胞の発生や成長、維持や再生を促進させる神経栄養因子(分泌性タンパク質)の一種で、海馬などの中枢神経系に多く存在します。BDNFは、ニューロンの産生や神経突起の伸長促進、神経伝達物質の合成促進に関係するなど、脳にとって重要な栄養分と考えられています。残念ながら65歳以上では、加齢とともに減少することも知られています。
BDNFは、脳内で記憶形成を担う海馬に多く存在していますが、たとえば、脳内でBDNFの発現を約半分に減らした実験では、記憶や学習障害を引き起こすこともわかりました。
これらの報告から、BDNFは海馬で行われる記憶や学習について密接な関係があると考えられ、いくつかの研究でうつ病やアルツハイマー型認知症と関連性があることもわかってきています。
脳は、神経細胞のかたまりです。その神経細胞が毎日活動することによって、私たちは記憶を呼び戻したり、色々なことを判断したりすることができます。そうした脳の活動をさまざまな物質が支えていますが、その中でも代表的なものがBDNFということです。BDNFは特に、脳の中で記憶を司る海馬に多く含まれていて、記憶を司る神経細胞の活動を促進させていると考えられています。このようにBDNFは、脳の活動を下支えする非常に重要な物質ですが、認知症を予防する可能性が多くの研究で示唆されています。
また、チョコレートなどのカカオポリフェノールを多く含むカカオ製品を摂取すると、脳血流量が上昇することもわかっています。また、脳血流量の上昇により、認知機能テストのスコアが上昇することも報告されています。これらの調査からは、カカオ製品の摂取によって認知機能を維持できる可能性がみてとれます。実際、チョコレートを多く摂取している人は、認知機能テストの結果がよいという報告もあがっています。
是非 脳が喜ぶ、糖化の少ない、ポリフェノール豊富なチョコレートを選び、脳活にお役立てください。