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炭焼き長者の話

 伝説の類型の一つに炭焼き長者の話がある。

 田舎に住む冴えないが真面目な炭焼きの男性のところに、神様のお告げにより街に住む良家の娘が嫁にいくことになる。
 ある日、嫁が街への買い物を男に頼み、小判を渡す。
 ところが、男は途中で木にとまる鳥を見たため、撃ち取ってやろうと、その小判を鳥に投げ、失くしてしまう。
 事情を聞いた嫁が、「小判の価値も分からないなんて」と愚痴を言うと、炭焼きの男が「あんなもん、沢にいけば、一杯ある」と言う。
 果たして、男と嫁が一緒に行くと、沢は砂金で金色に光っていた。
 炭焼き一家は、それをもとに長者となるという話だ。

 東北の源義経の伝説に現れる金売り吉次の祖先とも呼ばれている。
 
 「自分が、当然に思っていたものに、価値がある」というビジネス的な話でもあるが、それを気づかせてくれるのが嫁というあたりに、何とも日本人の優しさとか配慮を感じさせる話でもある。

(ここまでで10分)

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