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中居正広氏の報道を受け、過去のトラウマ的な出来事が思い出されて今辛い方へ:精神科医からのアドバイス

2023年の旧ジャニーズ性加害問題、松本人志氏の性加害疑惑、中居正広氏の性加害問題が報道されています。そのなかで、過去のトラウマ的な出来事が思い出されて不調になられている方もいるかと思います。そのような方で、医療機関や相談機関に行かれた方がいい方も多くいると思うのですが、お家でもできるセルフケアの方法をお伝えできたらと思います。

体からのアプローチや認知的なアプローチなどさまざまななのですが、今回ご紹介するのは認知的なアプローチのなかの認知処理療法をベースとして、著者が、友人などにアドバイスしている内容3つになります。

①被害者を責めてしまう声があるのは、みんなが「いい人には良いことが起きる、悪い人には悪いことが起きる」という公正世界の信念を信じたいからです。ただ、「人生は世の中はどんなに良いことをしていても、嫌なめにあうことは残念ながらあるのです」。もちろん気をつけていれば防げることもあるかもしれませんが、たまたまその時その場所にいあわせたから嫌な目にあうということはあるのです。

被害者の方は、「なんであの飲み会に行ってしまったのだろう」「どうして早く訴えなかったのだろうか」「なんで、悪い人だって気づかなかったんだろう」と「自分が悪い」と考えてしまうことがあります。
そのときは、「悪い意図をもってした加害者が悪くて、あなたは悪くない」ということを思い出してほしいと思います。なんで、もっとはやく気づかなかったのかと悔やむ気持ちはわかりますが、「あなたはわざと意図して被害にあいに行っている」わけではないと思います。
悪いのは、悪い意図をもって、あなたを騙したり、良いように利用した人です。

②「もっと、抵抗できたのではないか」「もっとはやく訴えればよかったのではないか」と後から考え、あーもできたこーもできたと考えることを「後知恵バイアス」といいます。
でも、今ここにいるということは、サバイバルするために最善のことをしたというのを思い出してほしいと思います。

③「男性は一切信用できない」「汚れてしまった」「この先は危険ばかり」と今後について悪く考えてしまう人がいます。その場合は、いろんな軸で考えてみましょう。
一人の男性を見た時も、お金が返ってくる、時間を守る、秘密を守ってくれるなどいろんな軸で信用できるかを考えてみましょう。
汚れてしまったと考える場合は、世の中で汚れていない人がいるのか考えてみましょう。
この先危険ばかりと考える人は、確率論で考えてみましょう。

トラウマ的な出来事は、その直後から不調になる人もいれば、しばらくは仕事などで忙しくしていたり、「しょうがなかった」と割り切っていたりして大丈夫なのですが、数年経ってから不調になる方もいます。日本の現状では、男性優位社会の中でそのときは悪いと声をあげることはなく、諦めていたことやちょっとした違和感で終わっていたことでも、時代とともに認識が変わり、「悪い」とされることもあります。その間で振り回されたり、傷ついたりすることもあると思います。
できれば医療機関にかかって相談にのってもらうのがいいと思うのですが、自分の「認知」に注目してみることで少しずつ、「回復から妨げている思考」が解けていくといいと思います。

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