ディズニー&ピクサーが描く心の世界:『インサイド・ヘッド2』の不安症と『インサイド・ヘッド3』のうつに迫る
ディズニー&ピクサーの映画『インサイド・ヘッド2』が公開されました。
私は、認知行動療法や感情の研究を行い、支援方法のアプリなどを開発している児童精神科医です。この映画が「感情教育」以上に、「不安症に対する支援」という深い意図を持っているのではないかと感じましたので、その解説をしていきたいと思います。
インサイド・ヘッド3のテーマはうつ
『インサイド・ヘッド3』のトレーラーが公開され、次作での主人公ライリーの状態は「うつ」であることが明らかになりました。うつは、強い悲しみや長引く気分の沈み込み、喜びを感じにくくなる状態です。別の見方をすると、感情が麻痺してしまうような状態にもなります。
こうした背景を踏まえると、実は『インサイド・ヘッド2』のテーマも「不安」や「不安症」なのかもしれません。
不安の役割と影響
「不安」は、将来起こりうる危険を未然に防ぐために必要な感情です。適度な不安は、テスト勉強を計画的に行ったり、試合に向けて準備をしたりするのに役立ちます。また、人間関係での配慮や交通事故や暴飲暴食を防ぎ長生きするためにも重要です。
しかし、不安が強すぎるとどうなるでしょうか。劇中のライリーのように、不安が渦巻くと、過呼吸や心臓の動悸、頭が真っ白になるといった「パニック発作」を引き起こすことがあります。
不安に対する向き合い方
「不安になりやすい人」は存在します。ライリーも、完璧主義から来る強い不安を抱えているようです。高い基準を自分に課し、徹底的に準備しようとすることで、不安は増幅します。
不安と向き合うためには、「本当に心配していることが起こる確率を現実的に考えること」と「万が一心配していることが起きても、自分は対処できる」と自分を信じることが大切です。
ライリーの成長と解決
ライリーは、「不安が暴走している」時に、様々なキャラクターの助けを借りて、「不安からくる全てコントロールしたい気持ちを手放し、不安を抱える力」を見つけました。過去の記憶やセルフイメージ、築き上げてきた友情、そして憧れの人々が力を貸してくれました。また、「自分一人で頑張らず、人と一緒に頑張ろう」と新たな信念を持つことも、彼女を支えました。
まとめ
ぜひ映画を観て、自分自身の「不安」について考えてみてください。『インサイド・ヘッド2』は、ただの感情教育を超え、私たちがどう感情向き合い、どう支え合っていくかについても示唆している作品です。
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