私たちは、プラスチックを食べている
世界中の人が体内に取り込んでいるプラスチックは、1週間の平均でどのくらいの重さになるでしょう?
1、5mg
2、500mg
3、5000mg
答えは3の、5000mg !週に5グラムも体に入っているのです。
ニューカッスル大学の報告によると、1週間で5000mg クレジットカード1枚分の重さにあたるプラスチックを呼吸や飲食によって体に取り込んでいるそうです。
プラ容器を海に捨てなければ良いの?
世界の海には年間800万tのプラスチックが捨てられています。
しかし、プラスチックを海に捨てると言っても、それは飲み終わったペットボトルを海に投げ捨てる人だけのことではありません。
私たちが着ている化学合成繊維の服を洗濯すると、その排水にもプラスチックが含まれます。
そのほか食品トレー、容器、スポンジ、ティーバッグなど様々なプラスチック用品から流出しています。
小さな5mm以下のプラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれます。
魚介類の体内に取り込まれ、その臓器に蓄積して、鳥や人間などへと連鎖していきます。
食べ物だけでなく、世界中の水道水からもマイクロプラスチックは検出されています。
プラスチックの人体への影響を示す研究結果のデータはあまり多くありませんが、数々の動物でその有害性が示されています。
プラスチックに含まれる有害物質
プラスチックには、有害な添加剤が7%程度使われています。
添加物には、さまざまなものがあります。どんなものがあって、どのように有害なのか、いくつか説明します。
フタル酸
プラスチックに柔軟性を持たせるために使われる。レインコートや床材など。マウスなどの実験では、肝腫瘍や精巣萎縮などが報告されています。日本では子供用のおもちゃには使用が禁止されていますが、大人が使う多くのものに含まれます。
ビスフェノールA(BPA)
文房具、食器、おもちゃ、バッグなどに使用されています。動物実験で、発癌性や生殖機能障害などが報告されています。欧州では子供が口にする可能性のあるおもちゃや、哺乳瓶などへの使用が厳しく規制されています。
ポリ臭化ジフェニルエーテル
燃えにくくする難燃剤として使われます。甲状腺撹乱作用、神経毒性などが報告されています。
他にも、多数の有害物質があり、その種類も人体への影響も完全に把握できていない状況です。
有害物質が溶け出す
プラスチック容器を電子レンジで加熱すると、常温で使用するよりも有害物質が溶け出しやすくなります。
また、プラスチックが劣化すると細かくなったり傷ついたりして、そこからも有害物質が溶け出します。
また、プラスチック自体が海の有害物質を引き寄せて吸着することもあります。
プラスチックは有害物質の塊
このようにもともと有害物質を混ぜて作られるプラスチックですが、細かくなって海を漂うとさらにさまざまな有害物質を吸着して、毒性が高まっていきます。
この小さな毒の塊を魚介類が食べ、濃縮されて私たち人間の食卓にも上がっていくのです。
鳥たちも毒物を食べている
魚を食べる鳥たちも、大きな被害をこうむっています。
なんと、世界中の海鳥の約40%からプラスチック添加剤が検出されています。
プラスチックが多く検出された鳥では、中性脂肪が高い、カルシウム濃度が低いなどの結果も出ています。免疫機能の低下、アレルギー性疾患、さらに肥満などを引き起こすという報告もあります。
人と生き物と地球の幸福
これだけの環境を作り出したのは、ごく最近の私たち人間の行動です。プラスチックを使う量を減らすことで、海のプラスチックが減り、環境、動物、私たちへの被害が減っていきます。
地球のことを考えた暮らしをすることで、今の私たちとずっと先の子孫に幸福をもたらすことができます。
自分に、自分たちに思いやりを持ち、良い先祖となっていくために、プラスチックを減らす取り組みを積極的に行いたいと思います。