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人間の闇を絶妙にあぶり出す!本当に怖いのは人間というのがよく分かる名作、「闇祓」を読んで

とんでもない作品を読んでしまった!

今回紹介するのはこちら
「闇祓(やみはら)」辻村深月


辻村深月の作品のいいところはというと
色々いいところがあるのだが、
読んでる人の心をわしづかみにして
虜にしてしまうところでしょうか。

そこのところが神がかってますね。

はじめはふーんと第三者の視点で冷静に読めていたものが、途中から主役の気持ちが乗り移ってしまってどうにもならなくなります。

そんな著者が送る人の心の闇をテーマに小説にしているから、まあとんでもない!

5篇のオムニバス形式の短編から成り立っているけど、それぞれ違う人の心の闇を描く。

誰かのさりげない仕草に心をかき乱され殺意を抱くようになったり、

誰かに頼りきりになり、振られた彼女が自分と付き合わないのはおかしいと思い込むようになったり、

グループの中で互いに疑心暗鬼にしたり

と巧妙に人の心の醜い部分を増幅させる人間(一族)を描いているわけなんですが、人の心を掴む著者だけにすっごくホラー!

一番印象に残ってるのは一番はじめの短編。

女子高生が主人公で好きな先輩がいて、その先輩がイケメンで気さくな感じなんだけど、主人公といい雰囲気になると突然豹変します。

一緒に帰るときに、ずっとダメ出しをされて、別れたあとに、スマホを見ると長文のLineメッセージが入ってて、内容はもちろん全部ダメ出し!

先輩といい感じになれてうれしいというウキウキしたところからの、実はこんな嫌なやつだったのかというあまりの変わり身の速さにとんでもない感じがします。落差がありすぎて怖さが倍増ですね。

ちなみに、友だちは先輩と付き合えてよかったじゃんみたいな感じになってるから、相談もできなくなっていたりして、本当に怖いです。

現代版ホラーの傑作ですね。


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