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【41】【坐禅】僧侶の修行生活【インタビューの練習】

「ボールペン一本にせよ、買うっていうのがほんと嬉しくて。あとさ、何もないからさ、楽しみが香りで。だから自分の洗剤の匂いとか、そういうのが楽しみやったんねん。」

厳しい修行時代を懐かしそうに思い出す、Jさん。


Jさんは、曹洞宗の住職だ。


曹洞宗とは禅宗の宗派のひとつである。
坐禅に徹することによって得る、”心のやすらぎが「仏の姿」となる”という教えだ。


僧侶になるためには、厳しい修行を積まなければならない。
ほとんどは世襲による後継ぎだが、一般の家庭から僧侶を目指す人もいる。

今回は、一般の家庭から僧侶を目指した、Jさんに修行時代の話を伺った。



Jさんは親戚の伝手を頼り、寺の門を叩き2年の修行を経て僧侶の仲間入りを果たした。


僧侶になれたと安堵するのは、ほんの束の間。

今度は寺の責任者である「住職」になるために修行道場でさらに厳しい修行を励む。


修行道場は全国各地にあるが、Jさんはもっとも厳しい道場といわれる「永平寺」に赴いた。

永平寺は、福井県の山奥にある曹洞宗の本山のひとつだ。
年間、数万人もの観光客が訪れる日本でも有数の寺院である。

そこでは、150名ほどの僧侶が日々修行に励んでいる。



修行僧の朝ははやい。

これはある夏の日のJさんの一日のスケジュールだ。



朝(?)、3:30起床。

僧侶の朝は坐禅ではじまる。
線香1本がなくなる、およそ40分の間じっと座り続けるーーーー

坐禅が終わると、今度はお経を読み仏様を拝む”お勤め”がある。

起床してから2時間半。
やっと朝ごはん。
30〜40分かけて、ゆっくりお粥をいただく。


朝食を済ませ、掃除の時間だ。

「一人でパパっとする掃除じゃなくて、軍隊みたいな掃除やねん。ちゃんと走って行かな、めっちゃ怒られるしさ。みんな全速で階段駆け上がんねん。それがしんどくて・・・」


掃除が終わると、配属された部署の仕事が待っている。


部署には、修行僧の食事を用意する係や観光を案内する係、法要の裏方などさまざまな部署があり、数ヶ月ごとに転役していく。


「そんなんやってたら昼前になって。11:00くらいからまたお勤めが始まって、それが終わったらご飯って感じ。昼はお粥じゃなくて、ご飯が出てくる。お米と汁やろ。それから漬物と別菜っていって肉の入ってない精進料理がでてくる。」

昼食が終わり、午後の掃除と各自部署仕事に勤しむ。


夕方。
30分ほどのお勤めを済ませ夕食だ。


「食事は本来は朝・昼の2食やねん。でも、このご時世2食じゃ栄養失調になるから3食食べてんねん。だから、晩御飯っていうのは正式なご飯じゃないねんや。」

「朝昼は坐禅をしている僧堂っていうところで食器を抱えながら食べに行くけど、晩御飯は正式なご飯じゃないから僧堂では食べられへんやねん。各寮舎でご飯と漬物と味噌汁と別菜ひとつを食べる。」


食事が終わると夜の坐禅、「夜坐」が始まる。
40分を2回、80分もの間とにかくじっと座り続ける。


そして21:00になり、ようやく一日が終わり風呂に入り寝る支度をする。


僧侶の寝方には独特のしきたりがある。


「坐禅をしている部屋で畳一畳で寝るっていうのが本当やねん。」

「掛け布団を折り畳んで。四方を紐で縛って、崩れへんように紐で2箇所巻いてた。その中に体を入れて。枕がないからさ、坐禅をする座布団を枕にして寝てる。」



そして3:30に起床。新しい朝が始まるーーーー

Jさんはおよそ2年間、この厳しい修行生活を送ったそうだ。






そんな厳しい修行生活だが、唯一の楽しみがある。

4と9がつく四九日だ。

四九日は、いつもより起床時間が1時間遅く、掃除の時間が短い。

修行僧にとって、息抜きのできる大切な時間だ。


「四九日にはさ、御用商っていって外から物を売りに来てくれる人がいんねん。っていっても、着物とかお香とか線香とか。仏具関係なんだけど。あとまあ、日用品の文房具とか洗剤とかも売ってる。ほんと普通のもの。」

「でも俺らにとっては、そういうのがうれしくてさ。ボールペン一本にせよ、買うっていうのがほんと嬉しくて。あとさ、何もないからさ、楽しみが香りで。だから自分の洗剤の匂いとか、そういうのが楽しみやったんねん。」




自分の住む街に必ずあるお寺。
宗派によって修行の内容は異なるが、これまでの意識とは少し変わりそうだ。


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