スクワットで左右差が出たときの対処方法

スクワット中に左右差が出ている場合、写真のように右に重心が偏っていることに気づかせ、左右のバランスを整えることは一つの解決策となります。
ただ、より詳しく原因を知りたい方に向けて、大切な考え方をご紹介します。

動作を見るときの基本:横から観察する

まず、動作の評価は正面や後ろではなく、「横」から見ることが重要です。
専門用語では「矢状面」と呼ばれる角度ですね。
この矢状面でスクワットの左右差に影響を与えるのは、主に股関節や足関節です。

矢状面から見たスクワット

足関節の前方に「詰まり」があるケースが多い


ここで足首前方に「詰まり感」を訴える人が多い!踵を床につけたまま膝を前方に。足首は42.3度もしくは、つま先から10cm先のラインに膝が届けば正常な可動域となります。

特に注目したいのが足関節の動きです。
多くの場合、足関節の前方で「詰まる」ような動きの制限が見られる方がいます。
このような硬くなった関節では、固有受容感覚と呼ばれるセンサーが低下します。

固有受容感覚とは、自分の関節が「どれくらい曲がっているか」や「どの方向に動いているか」を感じる能力のことです。
この感覚が低下すると、体の動きを正確にコントロールできなくなります。

たとえば、右足首の感覚が正常な場合、右側を頼りに動く傾向が強くなり、スクワットで左右差が生まれる可能性が高まります。

足関節の「詰まり」の原因:距骨と筋肉の関係

足関節の前方で詰まりが生じる場合、原因は「距骨」という青で示した骨が後方に滑り込めていないことにあります。
この状態を引き起こす要因として、腓腹筋やヒラメ筋が挙げられることが多いですが、実際には長母趾屈筋が邪魔をしているケースが目立ちます。



距骨の後方に張り付く長母趾屈筋。この筋が硬くなると距骨が後方に滑り込めなくなる。

長母趾屈筋に適切なケアを施すことで、距骨の動きが改善され、足関節の詰まりが解消する場合があります。
このような改善例は私自身も何度も目の当たりにしています。

こうした「謎解き」を楽しみながら原因を見つけ、解決していくことは、トレーニングや臨床の現場をさらに楽しく、充実したものにします。
そして何よりお客様に安心感を与えることができます。

お知らせ

2025年春くらいから、トレーナーやセラピスト向けに「身体のコントロールとストレングストレーニング」をテーマにした講習会を開催予定です。興味のある方はぜひお越しください!
dpc-hipakata.com


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