【2023年度五月祭】東大×藝大デザイン団体による、こだわりミルフィーユ専門店のご紹介 vol.3 「デザインサークル本気の販売用デザート作り」
初めまして。designing plus nine、2023年度五月祭商品開発担当の中村(東大2年)です。
今回僕たちdesigning plus nine(以下dp9)は、ミルフィーユの専門店 「Sweet Palette(スイート パレット)」を出店いたします。本店舗が出店に至るまでの秘話をお伝えするシリーズが続いていますが、第3回となる今回は、皆さんに販売するミルフィーユの開発過程を紹介していきます!
※前回はこちら!
“Sweet Palette”がミルフィーユ専門店になるまで
実は、ミルフィーユにしようというのはすんなり決まりました。「デザインサークルなら料理そのものも映えてなきゃ!」とスイーツに、「ありきたりな、いつも食べるようなものじゃつまらない!」と珍しいものに、「でも名前も見た目も分からないものは怖くない?」とほどほどの知名度があるものに──その点でミルフィーユはうってつけだったのです。複数の具材を重ねることで色や味も変えられる、名前は聞いたことがあるけれど、意外と食べたことはない──”Sweet Palette”の店名にもふさわしい名案でした。
青色のメニュー開発で苦戦
出店するスイーツが決まったので、次はメニュー開発です。
まずはサークル全体から募集した50個以上ものユニークな案をもとに、色と味の両方からバランスを考えて具材を選びました。その過程で、色相環を眺めていてふと思いました。
「青と緑、どうしよう?」
読んでいる皆さんは、「青はともかく、緑なんていくらでもあるでしょ」とお思いかもしれません。「緑なら、フルーツでもメロンやキウイにマスカット、それ以外ならもっと多いはず。青もブルーベリーやチョコミント、ソーダとかあるじゃないか」──しかし、ここには二つの条件があるのです。
一つは、「ミルフィーユに乗せて、他の具材と合わせて美味しいこと」。青色の食材のほとんどは、この障壁を乗り越えられません。ソーダやチョコミントは、僕たちの考えるミルフィーユのメニューとしては適切な選択ではありませんでした。
そしてもう一つが、「他の色と味が被らないこと」。” Sweet Palette” は、メニューごとに色と味が変わることが大きな特長です。黄色や橙色が酸味を強調した柑橘系メインだとすると、紫や赤は甘みを強調したベリー系。結果、緑は甘味でも酸味でもないものにしなければなりません。緑のフルーツも使えなくなってしまいました。
こうした思案の末に、緑色のスイーツの代表格ともいえる抹茶を使うことにしました。加えて和風という点から着想を得て、青色には金平糖を使用。抹茶を飲むときに隣にある和菓子の立ち位置に置いてみました!
模擬店ならではの美味しさへのこだわり
こうして大体のイメージが固まったら、いよいよ実際に作ってみます。ここにも”Sweet Palette”ならではの苦労がありました。生地に使用するパイシートは本来、じっくり焼き続けることで中の水分が蒸発して空気の層ができ、サクサクになります。しかしそれは全方向から熱し続けるオーブンでの話。僕たちが模擬店で使うような鉄板で片面を焼くと、水分が逃げ場を失って大きく膨らみ、均等に火が通らなくなってしまいます。この悩みを解消するため、「焼いている間に金属製の重石を乗せる」という調理方法を考案しました。これにより上からも加熱でき、金属の重さで膨らみを阻止できるのです。調理工程は当日の店舗でも見られますので、ぜひチェックしてみてください。
パイシートだけでなく具材に関しても、色による味の違いを際立たせるため、加工や盛り付けをより簡単にするためなどなど……何度も具材を変えて、今回お出しするメニューにたどり着いています。
「食べやすさ」にも工夫を凝らしました。もともとケーキであるミルフィーユはナイフとフォークで食べるものです。しかし、模擬店として多くのお客様に食べていただくには、木製やプラスチック製のナイフで切ることができません。サイズ感としては手にもつのがちょうどいいのですが、食べる際に中のジャムやクリームがはみ出してしまいます。これをなんとかして解消すべくサークル全体から意見を募った結果、ミルフィーユ全体を包み込むパッケージデザインに到達しました。
ぜひ食べに来てください!
このようにして、模擬店での販売が難しいミルフィーユを、五月祭の商品として皆さんにお届けできる形にしました。壁にぶつかってはどうにか乗り越え、また壁にぶつかって、試行錯誤を繰り返した末に完成させたものなので、思い入れもひとしおです。こうしてできた”Sweet Palette”を一人でも多くの人に、見るだけでなく味わって楽しんでいただければ幸いです。
五月祭まであと3日!次回のnoteもお楽しみに〜