短編小説『たこやきバズーカ』(755文字)
「あんたがたっどこさ♪って、なんやったけ?」
「なんかあったなぁ。そんな歌」と柿本は言った。
「その後が曖昧なんよな。全部は歌えへん」と僕は言った。
「せやな。あんま、よー分からへん」と柿本は言った。
「なんでこの歌、思い出したんやろ」と僕は言った。
「知らんわ。どっかで聞いたんちゃうん」と柿本は言った。
「んー、どっかで聞いたんかなぁ?思い出せんけど」と僕は、顔をしかめて、そう言った。
「たこやき食いたいねんけど」と柿本は、少し大きめの声で、そう言った。
「たこやき?」と僕は言った。それから続けて、「なんで、急にたこやき食いたいなんて言い出すねん」
「いや、急に食いたくなったんや」
「いや、そーかもしれんけど、今、時間も微妙やし」
「何時や。今」
「15時48分」と僕は新品の青い腕時計を見て言った。
「ほんまに微妙やないか」と柿本は声を弾ませ、笑いながら言った。
「夜ご飯、たこやきにする?」と僕は柿本に聞いた。
すると、柿本は腕を組み、「いやー、たこやきはなぁ」と言った。
「おい、どうすんねん!」と僕は、柿本の体を軽くどついた。
「おぉ、おぉ、おぉ」と言いながら、柿本はよろけた。
僕は「たこやき……」と呟いてから、その後、即座に「たこやきなしっ」と言ったが、それとほぼ同時くらいに、「食いたい、たこやき」と柿本は言った。
時間はどんどん夜ご飯へと近くなってゆく。
「もう、夜ご飯でえーやろ」と僕は柿本に言った。
「そやな。ええわ。たこやきだけやったら足りひんよーな気もするけど」と柿本は言った。
「そこらへんの草でも食っとけ」と僕は柿本に言った。
「いつか食うようになるかもしれへんから味見だけしとくわ」と柿本は言った。
二人は、たこやきのように頭を並べながら、仲良く、街を歩いていった。。。(おしまい
※部分的にパクるのも、おやめください
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