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誰かの好みを自分に取り入れると言う事

 自分の私服を褒められる機会というのは、そう多くは無いです。

 私の場合はアメリカンカジュアルが好きでその中でも古典的、伝統的なトラディショナルなスタイルを私服では多く取り入れています。

『このデニムは⚪︎⚪︎年のモデルで〜』
『このシャツは⚪︎⚪︎とコラボした時ので〜』
『このジャケットは⚪︎⚪︎の革で〜』

などなど、その道の通が見れば『おっ』となり語り合えるモノを着用しがちです。しかし、普段の生活や買い物で私の私服を褒められる事はまずありませんでした。


 その日は平日休みでパートナーは職業訓練校へ、私は夕方に通院がある以外には予定が無く、久々に1人の休日となりました。

 とりあえずショッピングモールでウィンドウショッピングをしながらカフェで昼食をして、それから病院に行くかと考えつつ着替えをしていると出勤前のパートナーから"この間買ってあげた服"を着て欲しいと提案されました。

 この"この間買ってあげた服"というのが、自分なら間違いなくチョイスしない服だったのです。

 胸元にデフォル調の白い猫がプリントされたポロシャツに、サラりとしたリネン素材のパンツです。

 最近こそ、ヴィンテージ以外の"語れない服"を着用する事に抵抗感が薄れてきたものの(この辺の話は私の下記note記事で書いています。)流石に可愛いが過ぎていて恥ずかしいです。しかし、せっかくパートナーが選んでくれた服を気(着)恥ずかしいだけを理由に断る事は出来ません。


 ショッピングモールの雑貨屋と靴屋さんと行きつけのカフェで
『そのポロシャツ可愛いですね!』
と褒められたのです。

1日に3回も着ている服を褒められる事がありましょうか?

 普段のアメカジなら古着屋にでも行かない限りあり得ません。

 私が『パートナーが選んでくれたんですよ』なんて言うと『えー!センス良いですねー』なんて言葉が返ってきます。ビジネス上の"おべっか"だとしても褒められると言うのは気持ちの良い事です。

 反面、日頃の自分のセンスに懐疑的にもなります。

 本当であればこの日は、新しいメガネと夏服を買おうとも思っていたのですが、パートナーが選んだ服を連続で褒められた後だと自分のチョイスに自信が持てません。私自身は『これだ‼︎』と思ってもコレで本当に良いのか懐疑的になります。この選択はパートナーが喜ぶのか、でも私が身につける物なんだから私の好みで良いじゃ無いか、しかし世間の人からセンスよく見えるのか、などと思考が堂々巡りをしてしまうのです。

 改めてパートナーと来た時に選んでもらおうとお店を後にしました。


 パートナーと出会って4日で同棲生活を始めて2年半となります。それまでは、自らのセンスを信じて着る物を選んでいました。

 しかし今は、服飾だけでは無く、生活にまつわる様々な事柄の選択肢に"パートナー"という存在が重要なファクターになりました。

それが嬉しくて少しこそばゆくて、それでいてどこか少し窮屈にも感じて、でもこれが一緒に居るという事、相手を尊重する事、パートナーを愛している証に含まれているんだろうなと感じる今日この頃です。

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