土用の丑の日は発見が多い
昨日は土用の丑の日でした。
私は去年からこの日、スーパーで1番高いウナギを買って、タレは自作するようにしています。
去年は1パック5,000円のウナギを買いましたが、今年は最高値で3,000円でした。
最高値のウナギをカゴに入れて、レジへ向かいます。やはり土用の丑の日だけあってレジは普段より混雑していました。
レジ待ちの列に並んで待つ間に、他の人のレジカゴを観察します。
700円の蒲焼弁当を何個もカゴに入れているおばちゃん、スライスしたうなぎを真空パックに入れたお手軽なのを、これまた何個も詰めているスーツ姿のお姉さん、私と同じで3,000円のを2パック買っている作業着姿のおじさんを確認しました。
ウナギ一つにしたって、これほどまでに個人個人で考えた選択や生活背景があって、人間ドラマが垣間見えます。
スーパーで会計を済ませて、帰りの道を歩きながら、そういえば私がコラム・エッセイが好きで書き始めたのはこういう事がキッカケだったな、と思い出させてくれました。
同じ物質・成分で構成された人間という生き物なのに、考え方や性格が違うのが不思議で面白くて興味深くて、もっと色んな人の色んなモノの見方を知りたくてコラム・エッセイ物の本を読むようになったのです。
そうしている内に、自分も興味深い人間の1人である事に気付かされてSNSで利用し、仕事で鬱になって回らない頭を記録しようとnoteを始めたのでした。
買ってきたウナギをただ温め直して、タレを作って食べるのでは芸がありません。
ウナギに元々塗られているタレを洗い流し、表面に軽く料理酒をまぶして、それが揮発し切るまで魚焼きグリルを極弱火にしてじっくりと焼き上げます。
タレは、片手鍋に濃口醤油とみりんと砂糖と料理酒をほぼ等分入れて、とろみが出るまでゆっくり混ぜながら煮詰めます。
それを炊き立ての白米にそれをそれぞれ載せて、混ぜて完成です。
スーパーで最高値のウナギはやはり美味しいです。普段、回転寿司やお弁当で食べるウナギとは違い、身が厚くてそれ単体の味そのものが濃厚です。手作りのタレも市販の物とは当然ながら味が違うので特別感の演出に一役買っています。
去年私が5,000円のウナギに手を出したのは完全に勢いでした。スーパーに行く用事があった日がたまたま土用の丑の日で、これも何かの縁だと思い折角ならと最高値のウナギを買って帰ったのです。それが強烈に美味しく、パートナーと一緒に感動した記憶があります。
隣にもっと安いのがあってそれを買ってパートナーと一緒に食べても、やっぱりウナギは美味しいね!と共有出来ると思います。しかし、最高値のウナギは感動する程美味しいのです。
この経験は、モノの価値について再認識させてくれる機会になりました。
今年も高いウナギを食べて、この物価高の昨今に安い物に目くじらを立てている自分を再認識したのです。安さばかりに目が行って感動や体験といった付加価値にフォーカスされなくなっている気がします。
そんな事を思いつつ、私がモノを書いたルーツを見つめ直す機会があったりと、2年連続で土用の丑の日にウナギを買うという行為は何かを与えてくれます。
来年のウナギは一体いくらなのか、そして私に何を与えてくれるのか、私は既に次の土用の丑の日が楽しみで特別な日になっています。