シットメン
「うんこマン参上!」
うんこマンは叫びながらガラス窓を破壊し、ビルの内側に突入した。
内部では黒服に機関銃を装備したテロリストたちが社員を人質にしていた。
「死ね!」
うんこスプラッシュ!
次元の裂け目より吐き出された茶色の粘体がテロリストの体に降り注ぐ。否、そのような生やさしいものではない。それは千本の針にも似た強烈な勢いで彼らの身体をズタズタに引き裂き、破壊し尽くしたのである。
「くっせぇ!」
人質たちは口汚くうんこマンを罵った。しかしそんなことはどうでもよかった。うんこマンはただ一心に敵を排除しようと努めた。
やがて最後の一人となったところで、うんこマンは立ち止まった。そして言った。
――お前がリーダーか?
すると相手はニヤリと笑って答えた。
――そうだ。俺の名はシット・F・アックスだ。
――俺はうんこマンだ。
――貴様も馬鹿な奴だ。こんなことをしても無駄だというのがわからんのか。
――バカは貴様だ。無駄なのも貴様だ。
――フッ……まあいいだろう。では勝負といこうじゃないか。
――望むところだ。
二人は同時に床を蹴って跳躍した。二人の拳が激しくぶつかり合う。その衝撃によって周囲の壁や天井が崩れ落ちた。だが二人の戦いは終わらない。互いに一歩も譲らず殴り合いを続けた。
――なかなかやるではないか。さすがはうんこマンといったところかな。
――ふん。お前こそ少しは骨のある奴らしいな。
――ハハッ。褒めても何も出ないぞ。
――うるさい黙れこのうんこ野郎め!
――いい度胸だ。ならばこちらも本気を出すまでよ。
――来いっ!
――うおおおっ!
凄まじい衝撃波が発生して辺り一面を吹き飛ばした。瓦礫の下敷きになった人々は悲鳴を上げた。
――まだ倒れないか。しぶといな。
――そちらこそ。そろそろ決着をつけようじゃないか。
――ああ。次が最後になるだろう。
二人は構えを取り、睨み合った。緊迫感が高まっていく中、不意にうんこマンが笑い出した。
――何がおかしいんだ。
──ふふふ。それはな、シット。貴様は既に包囲されているからだ。貴様が俺と乳繰り合っている間に、警察の突入部隊は既に俺たちを取り囲んでいるぞ!
──なん……だと!?
シットの顔色が変わった。
──さらばだ!
その時である。突如として部屋の四方の壁が爆発したかと思うと、そこから武装警官隊が雪崩込んできたのだ。彼らは一斉に銃を構えて発砲したが、うんこマンの姿はすでにそこになかった。彼は既に次元の裂け目を開き、その中に飛び込んでいたからである。
――クソッタレェー!!
シットの絶叫だけが虚しく響き渡った…… 。
クソはてめぇだ、とは突入部隊の隊長の便、ならぬ弁である。
こうしてうんこマンの活躍により、事件は無事に解決した。
その後、警察はテロリストを殲滅したうんこマンの捜索に乗り出した。公共猥褻物陳列罪。それが彼にかけられた容疑である。
彼は指名手配された。しかしうんこマンは逃げ続けた。