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ちば在宅医療ことはじめ~まなぶ、つながる、うごく~ 第1回:7月25日(木)

2024年7月25日(木)にオンラインにて、ちば在宅医療ことはじめ第1回目の講義を行いました!


①「近未来の地域医療提供と在宅医療への期待」:吉村健佑先生

吉村健佑(千葉大学医学部附属病院 次世代医療構想センター 特任教授・センター長)

精神科医・産業医として研鑽を積んだのち、厚生労働省に入省。主に診療報酬と医療情報に関連した政策と制度設計に関わる。2018年より千葉大学病院にて病院経営の教育研究を行い、同時に千葉県庁にて地域医療の推進、医師確保に取り組む。 千葉県旭市との共同研究など産官学連携を得意とする。専門は医療政策、精神医学。 精神保健指定医、公衆衛生学修士、医学博士、労働衛生コンサルタント。千葉大学医学部卒、東京大学大学院・千葉大学大学院修了。

吉村先生には、①近未来の地域医療提供、②在宅医療への期待の2つの内容についてお話しいただきました。
近未来の地域医療提供については、日本の死因は老衰が増加することが予測され、千葉県においても在宅医療等需要が高まることが推測されています。特に医療提供する側の人材確保が最大の経営課題となっており、今後、2040年の医療のポイントとして、①人口減少=医療需要「量」の変化、②疾病構造=急性期から慢性期へ「質」の変化、③医療提供の人材不足・労働時間の短縮の3点が挙げられました。これらに対応する必要なアクションとして、医療提供の効率化、アクセスの部分制限、高度医療の限定提供が重要とのお話をいただきました。

在宅医療への期待に関しては、現状として、千葉県は在宅医療に対する体制が未だ不十分な地域があります。在宅医療の目指す形の1つの具体例として、機能強化型在宅療養支援診療所という指標が掲げられており、求められる診療所像が示されています。今後、より充実した医療体制のために、オンライン診療や電子処方箋などの整備も行っていく必要があるとのことでした。

②「在宅医療のはじめかたー在宅療養支援診療所の開業・導入・経営プロセス」:田上佑輔先生


田上佑輔(医療法人社団やまと / 一般財団法人やまとコミュニティホスピタル 理事長)

千葉県国保旭中央病院での研修医を経て東京大学医学部附属病院腫瘍外科に入局。東日本大震災を機に 2013 年に宮城県登米市と東京にてやまと在宅診療所を創設。2014 年より登米市地域包括ケア推進アドバイザーに任命。都市と地方を循環する医師の働き方モデルを医師不足と地域医療再生の解決策として提案。NHK朝の連続ドラマ小説“おかえりモネ”のモデルとなる 。NANIMON プロジェクトとして少子高齢化社会の医療を担う医師の輩出に臨む。東京大学医学部卒。

田上先生には、先生が実際に在宅診療所を開業された経験からお話しいただきました。

在宅診療のやりがい・面白さは患者さんの「わたしは、こう生きたい」を実現する点であるとのこと。特に、地域医療における医師の新たな役割と責任として、①プライマリケア・かかりつけ医、②コストをシェアする、③テクノロジーが挙げられるということでした。また、在宅医療の診療所を10年以上経営される田上先生からは、具体的にどのよう在宅診療所を開業するか、また、2-3年で目指す在宅診療所の形はどのようなものかに関してお話しいただきました。

田上先生は、自身のMISSON(使命)として、「志を地域医療の力に変える。」を掲げ、在宅診療に取り組まれています。また、ビジョンを見つける前に自己理解が必要であるということから、人生におけるミッションを叶えるための戦略や意思決定の立て方に関してご説明いただきました。

最後に、診療と地域活動の関わりについてもお話しいただきました。具体的には、在宅診療所が地域活動を行う重要性として、①ネットワークの構築、②地域資源の理解、③信頼関係の構築、④スキルと知識の向上に関してご紹介いただきました。

③「目標実現のために必要なことー行動科学的な視点から」:林英恵先生


林英恵 (Down to Earth株式会社 代表取締役 / 慶應義塾大学グローバルリサーチインスティチュート 特任准教授)

早稲田大学社会科学部卒業、ボストン大学教育大学院修士課程及びハーバード大学公衆衛生大学院修士を経て、ハーバード公衆衛生大学院にて博士号取得 (同学部で博士号取得は日本人女性初)。専門は、行動科学・ヘルスコミュニケーション、および社会疫学。一人でも多くの人が与えられた寿命を幸せに全うできる社会を作ることが使命。外資系広告会社のマッキャンヘルスで戦略プランナーとしてニューヨーク・ロンドン・東京にて勤務。2020年Down to Earth株式会社を設立。国際機関や政府、自治体、企業などの健康プログラムの戦略開発やブランディング、経営戦略のコンサルティングなどを行なっている。2023年、Down to Earth BEYOND HEALTH株式会社を設立し、公衆衛生と地域医療を研究と実践でつなぐ事業を立ち上げる。著書に『健康になる技術 大全』(ダイヤモンド社)ほか。

林先生からは、今回のことはじめのスローガンを「まなぶ、つながる、うごく」とした背景についてお話しいただきました。去年までの「まなぶ、つながる」というスローガンに加え、今年は「うごく、行動する」年にしてほしいという願いが込められています。学びを行動に移すための3つのポイントとして、①ゴール設定の方法、②使命の考え方、③具体的な実行の仕方(数字・期限で具体化する)ことに関して、これらを具体例を交えながらお話しいただきました。

最後に先生方におすすめいただいた本はこちら。

吉村先生:安藤忠雄 建築を語る

田上先生:井伊 雅子 地域医療の経済学

多くの方にご参加いただき、活発な質疑応答になりました。吉村先生の国や県を鳥の目で見た医療政策の視点と、田上先生のご経験に基づく在宅医療診療所の立ち上げや運営まで、第一回目に相応しい充実した内容でした。吉村先生、田上先生、ありがとうございました!(事務局)

ちば在宅医療ことはじめ
公式HPはこちらです!
まだまだお申し込みできます(録画視聴可能)

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