ちば在宅医療ことはじめ~まなぶ、つながる、うごく~ 第3回:8月27日(火)
2024年8月27日(火)にオンラインにて、ちば在宅医療ことはじめ第3回目の講義を行いました!
①在宅医療事務の実際と診療報酬の仕組み:平井久美先生
平井先生には大きく、①在宅医療の事務業務の全体像の把握、②実務をイメージとして捉えることの2つの内容についてお話しいただきました。
1. 在宅医療の事務業務の全体像を把握する
病院の外来の医療事務と比べて在宅の医療事務特有の特徴が多くあります。医療だけでなく介護報酬の知識が必要だったり、在宅医療の相談窓口になることもあるとのこと。大きな特徴として、下記の5点をあげていました。
① 病院外来と比べ、患者さんと接する機会が少ない
② 診療行為が把握しづらい
③ 診療報酬算定が複雑
④ 介護保健請求の知識が必要
⑤ 多職種連携に事務職も大きく関わる
上記の医療事務としての業務だけでなく、訪問スケジュール作成や訪問同行、必要物品の管理など多岐にわたる業務を行うのが「在宅医療事務」の特徴とのことでした。
2. 実務をイメージとして捉える
最後に、ケーススタディを行いながら実際に診療報酬の算定方法を行いました。
単純に計算するだけでなく例外や算定条件を正しく理解する必要があるとのことでした。
診療報酬はとても複雑ですが、政策の背景を理解しながら、細かいところに気を配ることが重要だと感じました。
②意思決定支援とアドバンス・ケア・プランニング(ACP):林伸宇先生
林先生には、ACPの歴史や学術的な解釈から先生の実際の経験までを踏まえて「在宅医療における」ACPについてお話いただきました。
意思決定支援のコツ
「本人」が決めることを支援することが大切です。本人が決めることが難しい場合の意思決定について、厚労省からガイドラインが出ています。
具体的に家族等、患者意思推定者と離すときは、
・「家族がどうしたいか」ではなく、「本人がどうしたいと思っているか」を尋ねる
・なぜそう思うのかを尋ねる
・具体的な経験やエピソードを尋ねる
これからあるべきACP
事前指示書を聞くだけでは効果がなく、ACPプロセスを通じて患者・家族・医療者間で共有するだけでも不十分なことがわかっていて、実臨床における医療やケア(例:早朝からの緩和ケアの実践、具体的なケアの提供)まで反映させる必要があることがわかっているとのことでした。
ACPの注意点
・患者・家族にとってつらい体験になる可能性がありうる。
・タイミングは早すぎても遅すぎてもよくない。早すぎると不正確・気が変わる・具体的に現実をイメージ可能性がある。遅すぎると患者の不安と否認が出て本人が判断しにくいとのこと。ACPを実施するタイミングは非常に難しいですが、その患者さんが1年以内になくなったら自分が驚くかどうかがACPを実施するタイミングの目安とのこと。
ACPは賛否両論あるようですが、それぞれのエビデンスを紹介しながら、本質的にどのように患者と家族の意思決定をサポートするかが重要だと感じました。
最後に先生方におすすめ頂いた本はこちら。
平井先生:保健診療便覧
メンタリング・マネジメント
林先生:総合診療・家庭医療のエッセンス 第2版
平井先生、林先生、充実した講義をありがとうございました!
ちば在宅医療ことはじめ
公式HPはこちらです!
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