ちば在宅医療ことはじめ~まなぶ、つながる、うごく~ 第4回:9月11日(水)
2024年9月11日(水)にオンラインにて、ちば在宅医療ことはじめ第4回目の講義を行いました!
①在宅における看取りとグリーフケア:細田亮先生
細田先生には大きく①在宅における看取りと②グリーフケアの2点についてお話しいただきました。
1. 在宅における看取り
現代での死亡者数は増加傾向にあり、死亡場所の確保や施設増加などとともに、訪問診療のニーズも高まっています。このような背景から看取りにおける在宅医療の役割を事例を用いながらお話いただきました。特に重要な点は「看取り」とは患者ではなく「周囲の人」を主語としたもので、死に至るまでの生の「プロセス」と死後に遺族がたどる「プロセス」までを包括しているということをお話いただきました。
2. グリーフケア
グリーフケアを行ううえで重要なポイントを、事例を交えながらお話いただきました。
グリーフケアを行う際の心持ちで大切なこと2点
- グリーフケアには緩和ケアや家族ケアなど様々なグリーフケアがあります
- グリーフケアはもともと「喪」や儀式を通して人の心を癒してきたので、「医学的手法」だけでは限界があります。また、他者の気持ちを「わかる」ことは絶対にできないという前提に立ってグリーフケアを行う必要がありますグリーフケアを行う際の注意点2点
- 程度の強い悲嘆反応は見逃さず、必要があれば専門家に繋ぎましょう
- 終末期の医療者の振る舞いでグリーフが軽減されることがあります(患者が亡くなる前からグリーフケアははじまっていることを知ってください)
在宅医療の患者家族にとって、グリーフケアは、とても重要なプロセスだと思います。亡くなる前からグリーフケアが始まっていること、つまり、グリーフケアを念頭に入れて、在宅医療を行う必要性を感じました。
②在宅医療における認知症へのアプローチ・診断・マネジメント:内田直樹先生
内田先生には①認知症とは何かと②認知症支援のポイントについてお話いただきました。
1. 認知症とは
認知症とは認知機能障害によって生活に支障をきたしている状態です。認知症はこれまでできていたことが段階的にできなくなっていきますが、それは病気ではなく老いの過程という捉えかたがあります。ですので、特定の人だけがなる病気ではなく、だれでも長生きをすれば老いて認知症になることを理解し、認知症を恐れないことが大切です。
2. 認知症の支援のポイント
認知症を医学モデルだけではなく社会モデルで捉えて、周囲の環境を変えることや個人の自立支援することが重要です。熊谷晋一郎先生によると、自立とは依存先を増やすことだと言われています。今認知症の多くの方が依存できるところは家族に限られているので、在宅医療の医療職や介護関係者など依存先を増やすことが大切です。
また、認知症と生きがいの関連も示唆されていて、「生きがい」を感じている人の方が感じていない人よりも認知症の進行が遅いことがわかっています。認知症の人が生きがいを感じられるような接し方や働く場所の提供などが進むと良いと考えています。
認知症支援のためには、医療従事者だけではなく、地域、家族、医療従事者の連携が必要です。それが、依存先を増やすことや、認知症のある人が生きがいを感じて生きられる場所を残すことにもつながると感じました。
最後に先生方におすすめ頂いた本はこちら。
細田先生:臨床現場のもやもやを解きほぐす 緩和ケア×生命倫理×社会学
内田先生:科学的認知症診療 5Lessons
認知症のある人と向き合う
認知症プライマリケアまるごとガイド
細田先生、内田先生、充実した講義をありがとうございました!
ちば在宅医療ことはじめ
公式HPはこちらです!